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音の子  作者: 花言葉
姫になるとは
16/24

5

 次の日、アイシャは、今日もレッスンをさぼった。

(アイシャは、本気で、姫にならないつもりなのだろう)

 ベルツは、少しばかりイライラしていた。

(好きなのに、どうしてうまくいかないのだろう)

 愛は、偉大なものではないのだろうか?

 一人考え込んでいた。

 うろうろと、アイシャの部屋の前を行ったり来たりしていた、すると。

「王子だけですか?」

 アイシャが顔を出した。

『私一人だ』

「それなら、中に入って」

 アイシャは、そう言って中へ入らせてくれた。

「鈴の音、聞こえていました」

(あっ、それで、中に入れてくれたのか)

「王子は、仕事してくださいよ」

 アイシャは優しく笑う。

「私は、正直、不安だったの、庶民が王族と結婚するなんて、苦労する道に自分から飛び込むみたいだから」

 アイシャはうつむいてそう言う。

「私はね、王子と本当に乗り越えられる。幸せになれるって、今は、思っていないの、だから、もう少し考えさせて」

『そうなのか、急に姫にして怒っているよね』

「まあ、王族とは、どういう物かわかってよかったのかもしれないわ」

(それは、嫌な部分を見てしまったと言う事なのか?)

 ベルツが不安になっていると、アイシャにも不安が伝わったのか語り出した。

「私にレディなんて無理だし、その上姫なんて、考えたくなかった」

『私が、王族じゃなければ、こんな苦労はなかったのに』

 ベルツは、悔やんだ様子でそう言った。

「王子、私は、そんな風には思っていません。王子は、王子だから、今みたいに優しくていい人なのよ、ベルツの事好きよ、王族だって所も」

『アイシャ……』

 ベルツが感動していると。

「ベルツ、ここにいたか、大変なことが起こった」

 マティスが走ってかけてくる。

『何事だ』

『ベルツ・ヒルマン・アギストを殺す』の文字が新聞にでかでかと載っている。

「殺しだよ」

「そんな」

「これは、一般広告だ。ギャグかもしれない。でも、気をつけろよベルツ、一週間後には、会議があるからな」

『そうだな』

「待って、それって、一週間後の会議の邪魔をしたいのではないのかしら?」

「そうか」

 マティスは、頭をひねっていたがすぐに切り替えた様子で。

「会議をじゃましたいやつを絞り出してくる」

 そう言っていなくなった。


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