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次の日、アイシャは、今日もレッスンをさぼった。
(アイシャは、本気で、姫にならないつもりなのだろう)
ベルツは、少しばかりイライラしていた。
(好きなのに、どうしてうまくいかないのだろう)
愛は、偉大なものではないのだろうか?
一人考え込んでいた。
うろうろと、アイシャの部屋の前を行ったり来たりしていた、すると。
「王子だけですか?」
アイシャが顔を出した。
『私一人だ』
「それなら、中に入って」
アイシャは、そう言って中へ入らせてくれた。
「鈴の音、聞こえていました」
(あっ、それで、中に入れてくれたのか)
「王子は、仕事してくださいよ」
アイシャは優しく笑う。
「私は、正直、不安だったの、庶民が王族と結婚するなんて、苦労する道に自分から飛び込むみたいだから」
アイシャはうつむいてそう言う。
「私はね、王子と本当に乗り越えられる。幸せになれるって、今は、思っていないの、だから、もう少し考えさせて」
『そうなのか、急に姫にして怒っているよね』
「まあ、王族とは、どういう物かわかってよかったのかもしれないわ」
(それは、嫌な部分を見てしまったと言う事なのか?)
ベルツが不安になっていると、アイシャにも不安が伝わったのか語り出した。
「私にレディなんて無理だし、その上姫なんて、考えたくなかった」
『私が、王族じゃなければ、こんな苦労はなかったのに』
ベルツは、悔やんだ様子でそう言った。
「王子、私は、そんな風には思っていません。王子は、王子だから、今みたいに優しくていい人なのよ、ベルツの事好きよ、王族だって所も」
『アイシャ……』
ベルツが感動していると。
「ベルツ、ここにいたか、大変なことが起こった」
マティスが走ってかけてくる。
『何事だ』
『ベルツ・ヒルマン・アギストを殺す』の文字が新聞にでかでかと載っている。
「殺しだよ」
「そんな」
「これは、一般広告だ。ギャグかもしれない。でも、気をつけろよベルツ、一週間後には、会議があるからな」
『そうだな』
「待って、それって、一週間後の会議の邪魔をしたいのではないのかしら?」
「そうか」
マティスは、頭をひねっていたがすぐに切り替えた様子で。
「会議をじゃましたいやつを絞り出してくる」
そう言っていなくなった。




