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10年越しの片思い  作者: 桃塚陽向
第1 章
1/7

光の中の少年

 20XX年ーー。

私、佐久良(さくら)エレナは、期待に胸を膨らませながら、小学時代から仲が良かった神山美玲かみやまみれいと一緒に中学の校門をくぐった。

 受付で渡されたクラス割の紙を見て、自分の名前を探す。

「えっとぉ…私のクラスは…2組かぁ」

「美玲は1組だー…。離れちゃったね。」

「残念だね…。でも一緒に登校したりはできるし!変わらずよろしくね」

「うん、じゃあまた後で」

クラスが離れた美玲と別れ、1年2組へと向かった。


 エレナが通う中学は3つの小学校からも集まるマンモス校だ。

だからこそ知らない顔ぶればかりで緊張が募る。

そんな中でも、早くも多くの人に囲まれている男子がいた。

 その男子というのが、エレナがのちに恋する大恋愛の相手・奥田喜一おくだきいちだった。



 入学式を終え、クラス委員を決めるホームルームが始まった。

クラスに馴染めていない人が多い為、クラス委員を決めるのには時間がかかると思ったが、意外にも男子はあっという間に決まった。

周囲の立候補で、奥田喜一に票が集まった為だ。


「喜一は明るいし誰とでも仲良くなれます!」

「喜一は小学校でもクラスのまとめ役でした」

「喜一がクラス委員になったら学校生活が絶対楽しくなります!」

などなど…先ほど奥田喜一と楽しそうに談笑していた男子たちが立候補していた。


 そんな立候補が殺到する奥田喜一に対して、エレナは単純に興味が湧いた。

「あんなに人望が厚いってどんな人なんだろう…。よく見ると顔もタイプなんだよなぁ…」

そんな風に考えながら彼を見ていると、奥田喜一と視線が合ってしまった。

「うわぁ…。気付かれた?」

咄嗟に目をそらしてしまった。

思わず机をじっと見つめてしまうエレナ。

 だけど、脳裏には奥田喜一の顔が残っている。

少し丸い輪郭、色素が薄くて茶色の瞳、ふわっとした髪、少しだけ焼けた肌ーー…。

 何もかもがエレナの好みだった。


 女子クラス委員はエレナと同じ小学校だったギャル系の子が自ら立候補した。彼女の名前は鈴木夏帆すずきかほ

夏帆とエレナは小学校で同じクラスだったので仲も良く、ホームルーム前には「よろしく」と言葉を交わしていた。

 そんな夏帆が奥田喜一と一緒にクラス委員を務めることになり、エレナは夏帆に対して何故だか分からないが羨ましさが募って、心を苦しめた。

クラス委員が決まると、黒板の前に夏帆と奥田喜一が立ち、「一年間よろしくお願いします」と挨拶をした。

「みんなで仲良く楽しい学校生活を送りましょう」と、爽やかな笑顔で挨拶をする奥田喜一は、見ているだけで心が温かくなるような…まるで光の中にいる少年だと感じた。

 その瞬間、「あ、この人とは住む世界が違うわ…」と、エレナは一瞬で感じた。

だけど、どうしてもその奥田喜一の笑顔から目が離せなかった。


 クラス委員が決まると、奥田喜一と夏帆が進行を進めながら他委員を決める事になり、エレナは保健委員になった。

ホームルームが終わると、夏帆の提案で委員に選ばれた人だけで親交を深めるために出かける事になった。

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