視線
「長尾と申します。今回は入所を検討されていると伺ったのですが。」
長尾さんの声は高く落ち着いていた。
「あ。そうなんです。」
「ありがとうございます。まずこの教習所のパンフレットをお渡ししますね。何か聞きたいことがあればなんでもお聞きください。」
そう言われて渡されたパンフレットに目を通し
「だいたいどれほどの期間があれば免許証を取得できますか。」
「早い人で一週間。遅くても三ヶ月ほどですね。スケジュールを組むのが不安であればこちらで組んだスケジュールで通っていただくこともできます。」
「そうなんですね。スイスイ合格できるかもちょっと不安ですね。」
「そういう方には安心サービスといって再受講されても別途金額がかからないパックもございますよ。」
その後気になったことは長尾さんに聞き、1時間ほど経ち
「それぐらいですかね。ありがとうございます。」
「いえいえ、ゆっくり考えてください。お待ちしております。」
軽く会釈をし席を立つとちょうど授業が終わったらしく生徒と教官たちが本館に流れ込んで来た。
そこまで人は多くないな。
その中で一人ウィンドブレーカーを着た若い教官が目に入った。
いかにもモテそうな人だった。