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助手席  作者: 狸
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外周

運転席に乗り込みミラーを調節する。杉本さんは隣で資料を読み込んでいた。

準備が整い発進してもいいものかとおどおどしていると


「ん?行けそうだったら行ってもいいよ。」


と前を見ながら彼は言った。

その言葉を受け恐る恐る指示器を出しゆっくりハンドルを切りながらアクセルを弱々と踏む。


「とりあえずは外周をぐるぐる回ろっか。」


相変わらず優しい口調だった。

言われた通りぐるぐると回っていると


「ちょっとそこに止めよっか。」


と2番と書かれた停車場を見て彼は言った。


「はい。」


怒られるのだろうか。年齢を重ねると言葉の裏の感情を気にするようになる。

特に語気が強いわけでもない。表情はマスクに隠れてよく分からなかった。

車を停めてビクビクしていると


「怖い?」


その言葉に一瞬固まった。

まだ数回しか乗ったことはなかったが今まで教官から


真っ直ぐ前を見ろ。下じゃなく遠くを見ろ。アクセルをもっと強く踏め。


などの技術面においては色々言ってくれたが怖いかどうか聞くようなそぶりは見せなかった。


「運転見てると怖いんだろうなぁ。と思ってね。でも僕も神様って訳じゃないから聞いてみただけなんだけどね。」


本当にその通りだった。何が怖いのかと聞かれてもよく分からない。ただ漠然と怖いという感情がずっと付いてきているような感じだった。

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