それじゃあ世界を救いますか
くっそ下手な駄文ですがそれでもよければ…
西暦xxxx年、世界が崩壊した。
何処からともなく現れた『魔物』によって人は殺され、大地は荒れ果て国が停止した。
しかし数年後に救世主が現れる。その者は人間などとは比べ物にならない強さを誇る魔物を剣1本で殲滅していった。
そして彼は結界を張り人々が安全に暮らせる4つの国を作り、その国を守る役職、守護者を作ることで平和を実現させた。
これはその奇跡の救世主が国を作ってから、何百年もたったあとの話
〜要塞都市・マリア〜
かつて救世主が作った国の一つである要塞都市・マリア。
そこには陽気な人々が集まり、平和に暮らしている。
この国の守護者は他の国とは違い女性だ。
しかし彼女は孤独だった
それは彼女が周りを避けているせいでもあり、彼女が救世主の再来と呼ばれる程に“強い”せいでもあった。
強いから弱者を理解できない。強いから誰とも対等で居られない。
誰も彼女を理解しようと話しかけることもなかった
そして彼女は周りに恐れられ、「無慈悲な姫」と呼ばれた
「なぁ、嬢ちゃん。おじさんと一緒に遊びに行かない?」
1人の男を除いて
「…また貴方ですか、何でも屋さん。答えはNOです。」
「あはは!また振られちまった。てことで嬢ちゃん、やけ酒に付き合う気はないか?」
「振った本人を誘うとか頭おかしいんじゃないですか?」
「辛口だね!やっぱ嬢ちゃんはかっこいいな!」
「それはどうも。それでは」
ことの始まりは数日前。結界の前に魔物が出現したという情報を元に彼女が出動させられた時のこと
「…これはどういうことですか?」
目の前に転がっていたのは100を超える程の魔物の亡骸。
「討伐対象が既に死んでいる…一体何が…」
その時死体の中から1人の男が顔を出した
「ん?お!人がいる!良かった〜死ぬかと思ったぜ。体が埋まってて動けないんだけど、助けてくれね?」
「え、ああ、はい」
目を疑うような事実に呆然としていた彼女だったが、とりあえず男を救出する事にした
「どうしてこんなところに?」
「いやー、それがさ隣の国から旅してくる途中で襲われちゃって」
「旅人?…なんにせよ」
剣を抜き男に突きつける
「貴方を通すわけには行きません」
「…えっと、なんで?怪しい者じゃないぜ?」
「低級魔族と言えどこれだけの数を殺し、生き残って居る人間の何処が怪しくないのか教えていただきたいですね」
「…どうしたら信じてくれる?」
「納得のいく説明をしてくれれば」
「どうしても?」
「私にはこの国を、人々を守るという使命があり、それを破るつもりはありません」
「へぇ、かっこいいな。お嬢ちゃんかっこいいぜ。おじさん感動しちゃった!まぁ人に話せない内容でも無いしちゃんと話すよ」
「納得のいく説明をお願いしますね」
「OK、ビビるから剣は下ろしてくれ。簡単な話集団で突っ込んで来たからそこに爆弾と毒ガスをバラ撒いただけさ。文明の利器って素晴らしいね!後はまあ運良く逃げ回ってたら死体に潰されちゃって困ってたんだ」
「…確かに爆弾の破片と毒ガス発生機の破片が残っていますし、嘘をついている訳では無さそうですね。いいでしょう、マリアへの立ち入りを許可します」
「サンキュー!おじさん嬉しいよ!」
「…外見年齢は私より少し上くらいですが…貴方の名前は?」
「んー、精神年齢がおじさんなのかな?俺の名前知りたい?」
「いえ、別に。一応聞いた方がいいかと思っただけですので」
「えぇー…。まあいいや俺の事は『何でも屋』とでも呼んでくれればいいよ」
「わかりました。では私の事もお好きな様にお呼び下さい」
「あいよ!」
ーー
ー
「あれから毎日私の所に来ますが何なんですか暇なんですか」
「だっておじさんこの国に知り合い居ないんだもん」
「…私は忙しいんです」
「あ、そうだ。いい事を教えてあげるよ」
「?なんです?」
「おじさんは何でも屋さんだけど、一人の相手からは1つしか依頼を受けないことにしてるんだ。だから嬢ちゃんもおじさんに依頼をする時はよく考えた方がいいぜ」
「…じゃあそのおじさんって言うのやめてもらってもいいですか?」
「あれ?嫌だった?」
「年の近い人が自分のことおじさんというのは気分が悪いです」
「なんてこった!あ、今のは依頼ではなく友人としての助言として受け取っておくよ」
「ええ、お願いします」
「よし!じゃあおじ…俺はもう行くかな。今日も楽しかったよ、ありがとね」
「…そうですか」
私には、表情というものが少ない
楽しくても笑顔を作ることも出来ないし、泣く事も出来ない
こんな私でも優しく接してくれる彼に、心を、開いてしまう自分がいる
(…きっと、初めて友人が出来たからだと思うけど)
胸が少しうるさかった
しかし別れとはいつの間にか迫っているものである
「よし、俺は今日この国をでるよ」
「え…」
「結構長いこと居たからね。次の旅をしないと」
「そう、ですか…」
「…嬢ちゃんも来るかい?」
「…行けるわけ、ないじゃないですか。私はこの国の守護者なのに」
それ以上会話は続かなかった
〜マリア・中心部〜
「この国に新たな厄災が降りかかろうとしている」
「くそ!どうしてあんな化物が…」
「大丈夫、この国には救世主に最も近いと謳われる存在が居るじゃないか」
「彼女ならきっと我らを助けてくれる」
無慈悲な姫ならきっと
彼女に出動命令が出たのは彼と別れて数時間後のことだった
「結界の外に?魔物?」
その情報を聞いて一番先に思い浮かんだのは今朝方旅たった彼のこと
「…助けに行かないと」
私の友人を
ーー
ー
「…あれが標的」
結界の前には、山の様に巨大なゴーレムが迫っていた
「…」
彼の姿を探すが何処にも見あたらない
「良かった。ここに居ないなら巻き込むことも無い」
彼女は剣を抜き、守護者としての正義を執行した
(…勝てない相手では無い。中心部のコアさえ壊せればゴーレムなら倒せる。問題は相手の間合いの広さと硬さ…なら!)
「…今!」
相手が足を上げた瞬間に彼女は剣を振るった
その衝撃は岩を砕きゴーレムの足元の地面を吹き飛ばした
足元をこわされたゴーレムは為す術もなく体制を崩し転んだ。
相手が無防備になってから彼女の後ろで待機していた兵士達がゴーレムにむけて突進した
(…?ゴーレムの動きが鈍い。まるで自らコアを壊させようとしている様な…!)
「ダメです!コアを破壊してはいけません!」
しかし彼女の言葉が兵士立ちに届いた時には既にコアは破壊されていた
散り散りに砕けたコアから新しくゴーレムが精製されていく光景を兵士達は絶望のように感じていた
「…大丈夫、さっきと同じように体制を崩して行動不能にすれば…」
しかし、新しく精製されたゴーレムは最初の物よりも遥かに強い個体だった。
「…まさか」
それは伝承に書いてあった最凶最悪の敵
動く大地と呼ばれ救世主でさえギリギリ勝つことが出来たと言われていた化物
タイタンと呼ばれる魔物に酷似していた
「…!兵士達は結界の中へ!」
「は!」
(大丈夫、動きは鈍い。ここで足止めをしつつ皆が逃げる時間を稼ぐ!)
しかしそれは叶わなかった
タイタンがたったの1度拳を振るっただけで、絶対に破られることはないと言われていた結界が破られた
「……そんな、うそ」
もはや彼女にはどうすることも出来なかった
救世主に最も近いと言われようがそれは救世主よりは劣ると言う事
そんな相手が苦戦した化物に自分が勝てるわけがない
「…私は、この国の守護者です。だから諦めるわけにはいかない!」
「やっぱり格好いいなぁ、嬢ちゃんは」
「は?」
気付けばそこには彼がたっていた
「遅くなってごめんよ。ちょっと武器をとりにいってたんだ」
その手にはおよそ不釣り合いなほど大きな剣が握られている
「何をしてるんですか!ここは危険です!早く逃げてください!」
「えー、嬢ちゃんも一緒に逃げるっていうならそうするよ」
「私はここで少しでも時間を稼ぎます!だから…」
「…嬢ちゃんじゃ時間稼ぎも出来ないよ」
「!」
「なぁ、嬢ちゃん言うだけでもいい。俺に依頼をしてくれ」
「…なにを」
「頼むよ。お願いだ」
彼と自分の頭上には巨大な拳が迫っていたのにも関わらず、少しも焦っていない彼の言葉に心をゆすられた
「…どうか、お願いします。」
「うん」
「どうか、助けてください…!」
「こんなに『可愛い子』に依頼されたらしょうがない!」
「…え?」
「おっと、口が滑ったな」
「それじゃあ世界を救いますか!」
瞬間、迫っていた拳は消し飛んでいた
(今、見えなかった。)
「…久しぶり過ぎて力加減を間違えちまったな」
(でも、確かに切っていた!)
「さて、お前とやるのは久しぶりだな。タイタン」
「どうやって封印を解いたか知らないが、そんなことはどうでもいい」
(まさかこの人は…)
「お前は俺の大切な女の子を殺そうとした。万死に値するな、てことで死ね」
「救世主…さま?」
「ま、いまさら隠してもしょうがないか。そうだよ、俺がかの有名な救世主さまだ。その話はこいつを倒してからにしよう」
一瞬だった。
彼がその剣を再び振った時、既に相手は粉々になって死んでいた
「まったく、俺はタイタンに苦戦なんかしてねぇっつうの!封印するのに苦戦しただけで殺していいなら一瞬だわ!伝承なんて嘘ばっかだぜぇ!」
「…救世主さま」
「おっと、その救世主さまってのはやめてくれ。今までと同じで頼むぜ」
「何でも屋さん」
「そうそう、それ」
「先程の言葉をもう1度言ってはくれませんか?」
「…はて、何のことやら」
「…俺の大切な「OKわかった自分でいう」…」
「俺の大切な可愛い可愛い女の子。これでいいかい?」
「はい。何故かはわかりませんが、その」
「ん?」
「その言葉が、とても嬉しくて」
「…嬢ちゃんはずるいな」
「?」
「それで、他には聞きたいことは?」
「貴方は、何百年も前の人なのでは」
「あー、それはね。昔仲間に頼んで歳を取らない呪をかけてもらったんだ」
「…不老不死…ですか?」
「少し違うな。自分の意思でその呪いを解除したり発動させたり出来るからね」
「どうして、そんなことを」
「まあ、そうすればいつまでも人を救うことが出来るだろうなと思ってね。さ、こんな話はおしまいだ!」
(あぁ。やっぱり救世主さまはとても優しい人なんだ)
「嬢ちゃん、俺と一緒に遊ばないかい?」
「…助けてもらった借りもありますしね。どうかお願いします」
(…やっと笑えるようになったか)
「?なにかいいましたか?」
「いいや、何も言ってないよ。それより何をして遊ぼうか!」
「では、私がエスコートしましょう」
「…やっぱり嬢ちゃんはかっこいいな」