そこまでだショッカー!ライダーが相手だ!
♪後ろから前からどうぞ♪
♪後ろから前からどうぞ♪
「何だか凄い歌だなあ、渋い店内には合わないよ。
まあ上原亜衣さんが貼ってある時点で渋いかどうかって話になっちゃうけどね。
このポスターとこの歌で自分の18歳の欲望がスパーキングしそうだから違う曲にしよう。
一字さんは何でもいじっていいって言ってたしね。
一般的に いじるって言えばチンコだし、チンコと言えばいじるって事になるのは仕方ないけど…
あら さっそくスパーキングしてるみたいだから、早く曲を鳴らしている機器を見つけないと…
あの壁に下がってるラジオじゃないよな、有線のチューナーは電源が落ちてる、
テレビは見て分かる モニター真っ暗だ、
カセットデッキとアナログ盤プレイヤーも付いたオーディオも電源オフだね、
こうなったらスピーカーから辿ってみようか…
あれま、Bluetooth対応だ、無線で飛ばしてるなら辿りようがないな。
困ったな、バイト1日目にしてバイト先でセルフスパーキングじゃ人間失格だぞ。
あれ カウンターにiphoneがある…ああ これだ!
一字さん携帯置いて行っちゃったのかよ、いじっていいって言ったからいじっちゃうよ、
パスコード分からなくても止めるのは出来るよね。
あれれ 何ですと?プレイリスト セクシーソング集だって?
ヤバい 次の曲が聞きたくなっちゃったよ。
そうだ!テレキャスターだ!
あれをいじって気を紛らわせよう!
何だかビンテージ物っぽいし、いい音鳴りそうだ。
ここまでテレキャスターについてはっきり説明してないけれど、何と無く分かったかな?
フェンダーってメーカーのエレキギターなのさ。
右のやつがそうねテレキャスター、福山雅治がビールのcmで持ってたかも知んない。
そんで左が同じフェンダー社製のストラトキャスター、普通エレキギターって言ったらこっちかな?
断然こっちがかっこいいよね、このさ頭の部分って言ったら分かるかな?
弦を巻くペグってのが6個付いてるところがさ、
まだ小学生になったばかりの頃 初めてこのギター見た時にね馬の頭に見えたんだ、
スーホの白い馬って絵本に馬頭琴って楽器が出て来るんだけど「それだ!」って思ったんだよね。
で、一方テレキャスターの方は何かムヒョって感じで馬の一歩手前って感じ、何か変なの 手塚治虫の漫画に出て来るオムカエデゴンスの鼻みたい。
脱線したけど今になってみるとテレキャスターもかっこいいなあ、この使い込んだ感じイイなあ。
本当に触っていいのかなあ?」
カランコロンデゴンス
「おう!勇人いるか?!」
「うわ!びっくりした!い!いらっしゃいませ!あ?あれ?!」
「お?バイトか?また勇人のヤツ自分の女をバイトに雇いやがったか。
カミさんが出て行ったってのに懲りねえヤツだな!
しかしヤケにデカイし若いな、幾つだ?」
「ちょっと!ちょっと!デカイ女って和田アキ子さんじゃないんだから、ふざけないで下さいよ!」
「何だ?初対面で俺より馴れ馴れしいな。
あ?ああああ?!実樹貴か?!
何だおまえその恰好、前にバイトしてた亜希のエプロンじゃないか。
それで勘違いしたか?いや、お前よく見たら女顔だな、試合の時は終始 鬼みたいな顔してたから分からなかったか。
そうだ、お前部活はどうした?こんな汚ねえ店で何やってる?」
「マジで分かんなかったみたいですね藤郷さん。
部活は辞めたんです、後援会長の藤郷さんには申し訳ないんですけど。
でも藤郷さんも まだ4時半ですよ、会社 サボってていいんですか?
職人さんや倅さんにバレたら示しがつきませんよ。」
「何だと?!辞めただと?!ふざけんなお前!お前が辞めたら あんなチーム中学生にも負ける!何考えてんだ!」
「うう、怖えよぅ。
目をかけて貰って本当 申し訳ないんですけど、半端な気持ちで辞めた訳じゃないんです。
藤郷さんの会社にも詫びに行こうと思ってたんです、本当ですから。」
「ふう…戻れなんて頭ごなしに言ったところで 今の若いヤツは聞きゃしねえか…
とりあえず落ち着くかコーヒーをくれ、誰も客がいない時は このボックス席が俺の特等席だ、覚えとけ。
美味しくなれと念を込めて煎れるんだぞ。」
「出来ません。」
「はあ?!」
「さっき強引に採用されたばかりで、サイフォンがあそこにあるのは分かるんですけど、コーヒーなんて煎れた事無いから使い方も分かりません。
そんな素人のコーヒーなんて お金を頂く仕事として出す訳には行きません。
でも煎茶の心得ならあります、料亭を切り盛りしてた おばあちゃん直伝ですから自信あります!」
「ほほぅ、よく言った!茶葉はカウンターの中の引き出しだ。」
「ここですか?」
「いや、その一つ上だ、勇人のヤツは変にこだわるヤツだから、狭山茶の割といいヤツだったと思ったぞ。
急須と茶碗はそのグラスが並んだ棚のショットグラスの隣だ。」
「はい これですね、急須は深さのあるタイプか…あっ!凄い鉄びんもある!
期待して下さっていいですよ、それでは暫くお待ち下さいね。」
グラグラググラグラグ
「拙者の術にて早速沸き申した。」
「お疲れ様です。」
「ではお暇致す。」
「誰ださっきのお侍さんは?」
「さあ?でも凄く早く沸きましたよ。」
「ほほぅ、いきなり急須にはお湯を注がないのか。」
「一杯分きっちりのお湯の量と、適温に冷ます為に一旦茶碗に注ぐんです。
で、それを急須に注いで。」
「美味しくなれ!だな?!」
「はい!美味しくなれ!美味しくなれ!」
「美味しくなれ!美味しくなれ!」
「はい!今!はいどうぞ!」
「おう!いただくぞ……」
「どうですか?…」
「美味い!!今まで飲んだどの茶より美味い!!
ふう…ううん…ぬうううう…」
「どうしたんですか?」
「お前を勇人のヤツに取られた気がして気に入らんが、暫くヤツに預ける!」
「ありがとうございます!って何だこの流れ。
強引に採用されて認められるっておかしくないかな?」
「そういうのは 何かに導かれてんだ。
人生には何度かあるもんだ、逆らわず流れに乗ってみろ、
勇人は俺の幼馴染だ、変人だが悪いヤツじゃない保証する。」
「でもさっき 奥さんいるのに自分の女をバイトに雇うとか。」
「冗談だ、亜希は地獄のジャジャ馬だ、勇人みたいな根性無しには乗りこなせん。」
「ジャジャ馬を乗りこなすですか、何か興奮しますね。」
♪見られるたびに綺麗になるわ私ゴージャス♪
「あっ!次の曲がかかった、これまた凄え!」
「杉本彩だな、勇人のプレイリストだな、確か この次は本田美奈子の(あなたと熱帯)だった。
この美味い茶の いいお茶請けになるな、それでは堪能したいと思うので 今日はここいらで。」