部屋に自称『正義のヒーロー』が現れました。誰か助けてください。
「やあ、僕はレッドヒーローだよ!何か困っている事は無いかい?」
「誰だよお前。」
自分の部屋のドアを開けたら、正義のヒーローがいた。
「っていうか どこから入ってきたんだよ。ここ二階だぞ。」
「安心したまえ!君の家族に迷惑かけないようにちゃんと…」
ちゃんと?
「ちゃんと窓から入って来たヨっ☆」
「うおおい!それ犯罪だよ?! その時点でお前ただの罪人だよ?!」
「随分と酷いな君は?!」
人のプライベートに踏み込んでくるお前の方がよっぽど酷いだろ。
「まあまあ、僕が来た時点で君はラッキーなんだから。」
「ごめんなさい全然ラッキーな感じ無いし帰ってください。」
「いやいやいや!はら、困った事があったなら僕に言ってごらん?例えば怪人が
現れたとか」
「もしもし警察ですか」
不審者は、連行されました。
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二日目
「やあ、僕はレッドヒーローだよ!何か困っている事は無いかい?」
「またかテメェ。」
勉強していたら、正義のヒーローが再来した。
「警察とはどうなったんだよ。」
「いやぁ~ソコに丁度 知り合いがいてね~、爆笑されながら「お前なら仕方ない」
って返して貰ったよ。」
大丈夫か警察。
「と、いうワケで!何か困ってるコトは無いかいっ★」
「そうだね、目の前の変態には困ってるかな。」
正直に言ってやった。
「何処っ?! 何処だいその変態は?!」
「お前だぁぁぁぁぁぁあぁあぁぁぁああっ!!」
首ねっこ掴んで窓の外へ放り出しちゃったけど多分今回も窓から入ってきたと
思うしだったらお帰り頂くのも窓からで良いよね!!
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三日目
「やあ、僕h」
「死ねやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああッッ!!!!!!!」
強制的にお帰りになりました。
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「そういえば、従兄弟の大学生の子が最近この近くに引っ越してきたみたいねぇ。」
夕食中、母親が思いだしたように言った。
「大学生?そんな奴いたっけ?」
従兄弟といえば、キャピキャピ五月蠅いJKの方達しか思い当たりが無い。
「まあ、最後に会ったのも和樹が歩き始めた時だったし、周りから変人扱い
されて親戚でも少し浮いていたからねぇ。でも本当はイイ子なのよ?」
「…変人扱いって、何かあったの?」
「いきなり授業中にカバディし始めたり、運動会の全員リレーで三輪車を使おう
としたり…」
頭アカンやないか、それ。
「でも、人一倍 人生を楽しんでる子だったわ…お母さん羨ましくって。」
ふふ、と笑っておかずをつまんだ。
(変人扱いされている大学生の従兄弟ねぇ…)
『やあ、僕はレッドヒーローだよ!』
ボキッ
「まあ!箸なんか折ってどうしたの?!」
「イヤ、ベツニ…?」
『変人』というワードに、反応した自分が哀しかった。
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「やあ、僕h」
「懲りずにご苦労さんです。」
カリカリと鉛筆を紙に走らせながら ご挨拶だけしておく。
「おっ宿題かい?手伝おうか?」
「あ、じゃあ集中できるように存在感 消してもらえます?」
「ラジャ!」
…………………。
「出来るわけないよそんなの!」
「じゃあその仮面、取ったらいいじゃないですか。」
てか自覚してたんだ。
「和樹~、お友達から電話ッ…」
ピタリと、
母さんが動きを止めた。
「あ、分かった~有り難う母さん~あはは。」
ビュンッ!と部屋から飛び出し、(ヤバイヤバイヤバイヤバイ)とか思いながら階段を駆け下りた。
親不孝な息子で御免なさい、母さん!
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その頃 二人は。
しばらく停止し合って、最初に母親が口を開いた。
「あら~行成君じゃない。東京や大学にはもう慣れた?」
「えっあ、はい!上京して、お伺いしようかとは思ってたんですけど、その前に
従兄弟の顔でも見たいな~と思ってまして。」
たははっ、と後頭部をかいて、レッドヒーロー…行成は姿勢を正した。
「和樹?イイ子でしょ~可愛くて。」
「ええ、俺と違って常識的で面白い奴です。これからも ちょくちょく寄らせて
頂いていいでしょうか…?」
「勿論!さあ、こんなトコロにいないで、下でお茶しましょう。」
「お気遣い有り難うございます。」
ガチャ、と扉が閉まり 部屋には誰もいなくなった。
いつか貴方の所にも、レッドヒーローは来る…かも?(適当)