ハンターたちの旅立ち(いや、ちょっとふざけてます
キッズデビルハンターたちは、工場の跡地で、最後の決戦に挑もうとしていた。
いまや、四人のハンターたちは宿敵の悪魔を、結界に閉じ込めることに成功していた。
「えーと……エロイムイッサイムエロイムイッサイム……」
「馬鹿! いまどきエロイムイッサイムとか言う奴がいるかよ!」
「結界が緩んでる!」
「主よ! 我らに力を!」
ピカアアアアア! 地面に光り輝く結界の中心に、巨漢が束縛されていた。
「お、おのれ……ハンターたちめ!」
巨漢は身じろぎしたが、キッズたちの強力な結界は、この悪魔の力を完全に封じ込めていた。
「行くぞみんな!」
「食らえ! 神の力! ホーリースラッシュ!」
ズバアアアアアア! 閃光が巨漢を貫く。
「グ……グガアアアアア……!」
悪魔は崩れ落ちた。
「お……俺を倒したところで……何も終わらない……俺は……あの方の一部に過ぎん……」
「言いたいことはそれだけか」
キッズの一人が進み出た。
「お前の積み重ねた悪行。みんなを操って行った数々のハラスメント。その犠牲になった人たちの無念を思い知れ!」
「消え失せろ! 悪魔!」
そして、悪魔は灰となって崩れ落ちた。
後に残った、小さなハエに、キッズたちは気付くことはなかった。
そこへ、キッズたちの担任の先生が姿を見せた。
「みんな。よくやったわね」
「え? 先生! どうしてここに!」
「ええ。ちょっと気になることがあってね」
キッズたちが集まってくると、先生は地面に転がっているハエに聖水を掛けた。
ハエは悲鳴を上げてもがくと、小さな破裂音を残して砕け散った。
「い、今のは!?」
「みんなが倒したのは、悪魔の王、ベルゼバブの使い魔だったみたいね」
「ベルゼバブ?」
「ベルゼバブ……」
キッズの一人がスマホで検索する。
「うわ! すげえ! もの凄い上級悪魔だ!」
キッズたちが騒いでいると、上空に黒い影が出現した。先生は影を睨みつけた。
「みんな、気をつけて」
影の中から、美しい青年が姿を見せた。
「ミカエル。その子供たちが、お前の愛弟子たちか」
「ベルゼバブ……」
「こざかしい真似を。人間ごときが神の力を使うとは……」
ベルゼバブは掌をかざすと、黒い光弾を一発放った。ミカエルは腕を持ち上げると、光りの盾で跳ね返した。
ベルゼバブは口元を緩めた。
「今日はこれくらいにしておこう。そのキッズとはいずれ決着をつけてやる。使い魔とは言え、私の分身を倒したのだからな」
「はん! ばーか! お前なんかに負けるか!」
「そうだそうだ! かっこつけてんじゃねえ! 引っこんでろよ! ハエの出る幕じゃねえんだよ!」
「子供だからってなめんなよ!」
「ハンターの力を思い知れ!」
「食らえ悪魔野郎!」
キッズたちが放ったレインボー光線がベルゼバブを貫く。
「ぐおおおおおお……!」
ベルゼバブはのけぞった。
「お、おのれ! ハンター! この借りは返す!」
「へっへっへんだ! いつでも来いやあ!」
「おのれ……!」
ベルゼバブは瞬間移動で消えた。
「先生、これからどうなるの?」
キッズが問うと、ミカエルは真剣なまなざしで頷いた。
「もしかすると、敵は悪魔帝国のかなたから、大軍団を連れ来るかもしれないわね……。あなた達……戦える?」
「先生、俺たちもっと強くなりたい」
「あんな悪魔野郎に負けない力が欲しい」
「先生! 教えてよ!」
するとミカエルは言った。
「旅に出ましょう。修行の旅に」
「た、旅?」
「旅って……学校とかどうすんの?」
「時間を越えて、時のかなたへ行きましょう。また元の世界に戻ってくれば大丈夫よ」
「せ、先生! 俺怖い!」
「大丈夫よ。私が道案内を務めるわ。あなたたちが迷わないように、傍についててあげる」
ミカエルは優しく微笑んだ。
「よし……!」
「世界平和のために……いっちょやるか!」
「エロイムイッサイム……」
「だから違うって!」
キッズたちの心は沸き立った。かくして、ハンターたちの旅が始まる。
続きは無いです。題材は古いですが、まあ、適当に書いてます。ミカエルとベルゼバブが戦ったことがあるのかは知りません。