表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/7

友達は大切に

この話ゎ……友情の大切さをぉ考ぇるぉ話…………ぅそ……

 今日は平日だ。

 高校2年生の初冬、受験まで1年と少々。僕は有名国公立大学(あえて名前は伏せる)に受験するつもりなので、授業は真剣に聞いていなければいけないのだが。

 「…………」

 今日の僕はずっと、双葉さんを目で追っていた。授業はほとんど真面目に聞いていない。よくこれであんな成績がとれるものだ。やはり怪しい。

 「どしたべ綴原。珍しく不真面目ふまずめに授業さ受げてー」

 「四國しこく……。いや、気にしなくていいよ。女子高生を観察してるだけだからさ」

 「十分おかしいべ」

 こいつの名前は四ッ谷よつや 政國まさくに。あだ名は四國。

 数えるほどしかいない僕の友人の一人である。

 「女子高生を観察というと齟齬をきたすな。ただしくは、ひとりの女子高生を観察している、だ」

 「なんら言い訳になってねーべ」

 「いちいち難しい野郎だな。思考するな。感じ取るんだ。フィーリングだ」

 「なおのことわげわがんねーべ」

 「というかお前の喋り方どうにかならんのか? 鼻につくんだが」

 「しっつれーだべ! 大事な故郷の言葉だべさ!」

 「お前は四国出身だろーが」

 「四国じゃねーべ関東だべ!」

 「東北じゃねぇのかよ」

 故郷はどうした故郷は。

 「とにかくもう話しかけるな。女子高生観察に集中できないだろうが」

 「授業に集中してけろ……」

 四國の捨て台詞を無視して僕は双葉さんの観察に戻る。

 ふと、双葉さんの様子がおかしいことに気が付いた。なんだかさっきよりもじもじしている気がする。

 もじもじというか、もぞもぞというか。

 一体どうしたんだろう。具合が悪いのだろうか。頬も少しだけ赤い気がする。

 次の休み時間にでも訊いてみるか。

 すると、丁度いいタイミングで授業終了のチャイムが鳴った。

 僕は少しだけ勇気を奮って、双葉さんに話しかける。

 「双葉さん。少し具合が悪いように見えるけれど、大丈夫?」

 「…………」

 双葉さんは頬を赤くしたまま、何も言わずに背を向けた。

 なんだ? 照れているのだろうか。僕の事が好きなのか? 彼氏がいるのに。

 いや彼氏はまだ定かじゃあないか。

 この後、授業が終了するまで双葉さんはこの調子だった。身体でも壊したのかな。

 護衛という意味も兼ねて、僕はその日も、彼女を尾行した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ