死人賛歌
まあ、人間なんて、こんなものなんですよ。
ちなみに、作者の体験談が一つ入ってます。
死のう。
いきなり思い立った。
死への恐怖なんてそんなものどこを探しても今の俺には見つからないだろう。
世の中こんなものだろう。そう諦めながら人生を過ごしてきた。
僕が自己紹介をする必要もないだろう。
どうせ30分後にはもういないんだから。
なぜ死にたいかって?いや、死ぬって表現は間違ってるかも。
だって俺死んでるんだから。
え?いやいや違う違う、生物学的には生きてるんだよ。足だってホラ。
まず最初に諦めたのは中学の頃だ。
僕は昔から「いじられキャラ」って奴でね。
みんなからいろいろやられてたわけだ。
まあ、何でもできるかわりに何も突出したものが無かったんだけどね。
そこそこ頑張ったさ。でもさ。敵わない連中はいくらでもいる。
まずそこで、「まあいいか」だ。
高校も無難なところに入った。今度は「なんでもできる」は通用しなかった。
努力してもどうしても上には追いつけない。勉強に集中していたせいで昔の仲間もいなくなったさ。
そこで手首に傷を残した。
むき出しになったピンク色の肉と白い神経は僕の脳に大きな、それはそれは大きな衝撃を与えた。
かまってほしかったんだよな。たぶん。
ただ自傷癖があるような奴がクラスメイトにいていい気分するか?否。
瞬く間にもはや「そこにいるだけ」になっちまった。
そこで口を突いたのが「まあいいさ」だった。
そして大学。平均より少し下の大学に入った。
もう一人には慣れた、そう思ってた。
仲がいいグループがどんどん固まっていった。
閉鎖的な、一個の宗教のようなノリで騒いでいる奴等を傍目に見ながら
「もういいや」と思った。
人間なんて所詮そんなものだ。
こんなちっぽけな理由で簡単に人は死ぬ。
生きてればいいことある?
君は一人じゃない?
負けるな?
お前らは結局何が言いたいんだよ
くだらない自己満足に浸りやがって。お前らがやってるの一種の自慰だからな?
んで。こうしてる間に刻一刻と電車の時間は迫ってる。
緊張は高まらなかった。興奮はしなかった。
まあ、心残りといえばジャンプの続き位だしな。
あと2分。か。クソみたいなこの世にさよならってね。
できる限り他人様に迷惑かけて死んでやるよ
prrrrrr...
ん、メールだ。
開いた。
母親
件名:無し
今日はから揚げだよ。遅くなるならラップしとくよ。
...なんだよ。
まあ、人間なんてそんなものだ。
簡単に死ぬこともあるんだから、簡単に持ち直すことだってあるさ。
もう少しだけ、今日から揚げを食べるくらいは、神様も許してくれるだろう。
さあ、帰ろう。
そう思った瞬間俺の体は宙へ投げ出され、圧倒的な質量に蹂躙された。
骨が砕け、肉が裂けた。
血が飛び散る。もはや命は風前の灯だ。
首がぶっ飛びホームに転がる。
「気持ち悪い!」「ギャー!」「ひ、人が、人が」
かすかに聞こえた。
「飛び降りた」
さっきまでそのつもりだったんだよ。
視界に火花が散ったと思ったら、もうそこには暗闇が広がっていた。
もはや誰が押したかも自分ではわからない。
人間なんてこんなもんか。
飛びそうな。
意識の中?
俺は。
最後に
「生きて
る
って
すばら
しかっ
た」
って。
ありがとうございました。こんな駄文。焼き捨ててくれるわ。