プロローグ
人が殆どいなくなった夜中の高校に一人の浮浪者が校門を乗り越えて入ってきた。
「やっとだ。やっとついた!」
浮浪者が校庭で一人叫ぶ。叫んだ男の耳に物音が響いた。
「誰だ?出てこい。」
誰も出て来ない。仕方ないと呟いて、浮浪者は音の方に歩み寄っていく。
音の正体は木の影にいた。音の主を見て、浮浪者はニヤッと笑い、そして吠えた。
吠えていくに連れて、姿が変わっていく。
体がどんどん大きくなり、腕も増える。馬鹿でかい蜘蛛に浮浪者は変化した。
「喰わせてもらう。」
蜘蛛はそう言って、口を大きく開けて、音の主に迫る。音の主は悲鳴を上げようとするが、恐怖で声が出てこない。ただ震える事しかできない。
後、少しで喰われるというところで、突然石が飛んできて蜘蛛に当たる。蜘蛛は目の前の食事を置いて振り返った。
「なんだ、ガキか。普通の人間風情じゃ俺のような悪魔の前だと餌にしかならんぞ。」
自分を悪魔と言った蜘蛛を見つめながら俺はただ驚いていた。
「うるさいな。・・・そこにいるのってまさか椎名さん?」
俺は、蜘蛛をめんどくさそうに一瞥してその後ろに視線を向ける。
「えっ!黒城君?」
音の主こと椎名は俺に気付き、言った。
「やっぱり椎名さんか。はぁ~めんどい。」
そう言っては視線を蜘蛛に移す。
「クラスメート見捨てるわけにもいかないからさ、そこの下位悪魔は消えてくれ」
言うが早いか俺の背中に真っ黒な翼が現れる。そして右手を蜘蛛に向けて、微笑んだ。
初投稿です!
これからもよろしくですねえ