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決意
中空を舞うタカが飛びかう鞠をみつめている。交差する鞠と同じようにして二人の男が言葉を交わしあう。
「貴殿はこの国の現状をどう思う?」
「と、言いますのは?」
「天地開闢、それより続く正統な血統に異物が混入している」
「これは由々しき事態だとそうは思わないか」
刹那の沈黙
「我ら臣下たちはミカドにお仕えする、それだけにございますれば」
「そうだな、そうであった、、質問を変えよう」
「私は変革を求める。この国をあるべき姿へと導く、それが今この国に求められている、そう思っている。そしてそのためにはこの命などおしくはないとも。貴殿はどうか、忌憚なき意見をきかせてくれ」
風が強く吹いている、だが不思議と男が発した言葉はさえぎられることなくとどいていた。
「具体的には何が求められていると、殿下は何をなされるおつもりなのですか」
風に乗った鞠が男の顔をかすめる、返答を渋る男の前でその男は決意を語りだす。
「蘇我氏をつぶす、・・・手始めに入鹿を殺す」