肉
7月1日
梅雨が明け、一段と気温が上がり、本格的に夏が始まった。
今朝、畑を見に行くと、猪が罠にかかっていて、今回、この猪を逃したとしても、きっと、また畑を荒らしに来るだろう。
そう思った私は、猪の皮は物作りの材料として、肉は食料として、ありがたく使わせてもらうことにした。
猪の軽動脈をきり、川に沈め、血抜きをした後、肉と皮、骨などにばらし、亜空間にしまう。
家に戻った後、私は早速、肉を焼く準備を始めた。
肉は食べようと思えばいつでも食べれたのだが、不必要な殺傷はできるだけしたくなかったから、本当に久しぶり肉を食べる。
今回、たまたま猪の肉が手に入って、皆んなと野営をした日々を思い出したからだろうか、私は、久しぶりに肉と酒の味に浸りたくなった。
肉を焼いていると、肉の焼けるいい匂いを嗅いでか、ステラが指を咥え、物欲しそうにこちらを見ていた。
よく見ると、よだれも少し垂れている。
肉が食べたいのか?
私がステラにそう聞くと、ステラはこくりと首を縦に振った。
ごめんな。
これはまだ、ステラには少し早いかな…
そうだな…もう少し大きくなってから、ちゃんと食べさせてあげるから、もう少しだけ我慢してくれ。
私はステラの頭を撫でながら、そう言って慰めると、ステラは不満そうに、ぷにぷにのほっぺたを膨らませた。
すまん。すまん。
そう怒らないでくれ。
どうしようか…そうだ。
最近、歯も少し生えてきたことだし、明日からは離乳食にしよう。
ほら、そんな顔してないで、明日から美味しいものを作ってあげるから。
今日のところはこれで機嫌を直してくれ。
私はステラを抱き抱えて、背中をポンポンと叩いた。