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永遠の命  作者: 夜月陽向
2/14

子育て

赤ん坊を拾って一週間が経ち、私は赤ん坊にステラと名付けた。


昔、孤児院の手伝いで子供の世話をした経験と、副団長の親バカの話しのおかげなのか、上手く子育てできているか分からないが、特に大きな問題なく、なんとかやっていけている。


あのとき、私には関係ないことだと思っていたが、まさかこんなところで役に立つとはな。


うぇーん。うぇーん。


朝日も出始め、おそらくお腹を空かせたであろうステラが、泣いて私を呼んでいる。


ああ。今行く。


私は今朝、沸かしておいたヤギのミルクを持ってステラのもとに行った。


おはよう。よく眠れたか?


私がステラの前に行くと、ステラは、あぅ。あぅ。と両手を伸ばし、私が持っているヤギのミルクをねだった。


私はステラを抱え上げ、近くにある椅子に座り、ミルクを飲ませる。


いつのまにか、これが日課になってしまったな。


ミルクを沸かしたり、必要な物を作ったり、何回もあやしたりと、いろいろやることが多くて大変ではあるが、時間を持て余していた私にとっては、むしろ今の生活方がいいのかもしれないな。


しばらくして、ステラはミルクを飲み干した。

ステラから空になった瓶を受け取り、隣の机に瓶を置いた後、私は、ステラを体に寄り掛からせ、背中をポンポンと叩いた。


ゲプッ。

ステラは小さなゲップをした。


よし。お腹いっぱいになって、ゲップもしたことだし、次は、お前の服を作りにいかないとな。


そう言って、私は立ち上がり、ステラをゆりかごの中に入れようとしたところ、ステラは手足をジタバタとさせ、入りたく無いと嫌がった。


困ったな…まだ私と一緒に居たいのかい?

今日はずいぶん甘えん坊さんだな。

仕方ない。

なら、もう少しだけ一緒に居ようか。

そうだ。

昨日読んだ話の続きを読んであげよう。


私は机に置いてあった本を手に取り、読み始めた。


……そうして、小さな少年は家族と再会し、

幸せに過ごしましたとさ。

おしまい、おしまい。

どうだ?面白かったか?


私はそうやって、ステラの顔を見てみると、ステラはこちらをみて笑っていた。


まだ、内容を理解するには少し早かったかな。


私は、人差し指でステラのほっぺをそっと触った。


あ!あ!

なんだ?私を呼んでいるのか?

まだ喋るのには早いかもしれないが、今のうちに私の呼び方を覚えさせるのもいいかもしれない。

そうだな…ステラにとって私は親?とはまた少し違うような…

そうだ。師匠はどうだ?

師匠。言えるか?

し、しょ、う。


し。し……しょー


そうだ。私がお前の師匠だ。


ステラは大きくてキラキラした瞳でらこちらを見つめて、し…しょー。と、さっきよりもしっかりとした声で、私を呼んだ。


うちの息子は天才だ!


昔、副団長の言っていた言葉が頭をよぎった。

子供が喋ったぐらいで、なぜ親はそこまで喜んだり騒いだりするのか。

当時、私は理解出来なかったが、今なら副団長の気持ちが少し分かる気がする。

そう思った。


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