子育て
赤ん坊を拾って一週間が経ち、私は赤ん坊にステラと名付けた。
昔、孤児院の手伝いで子供の世話をした経験と、副団長の親バカの話しのおかげなのか、上手く子育てできているか分からないが、特に大きな問題なく、なんとかやっていけている。
あのとき、私には関係ないことだと思っていたが、まさかこんなところで役に立つとはな。
うぇーん。うぇーん。
朝日も出始め、おそらくお腹を空かせたであろうステラが、泣いて私を呼んでいる。
ああ。今行く。
私は今朝、沸かしておいたヤギのミルクを持ってステラのもとに行った。
おはよう。よく眠れたか?
私がステラの前に行くと、ステラは、あぅ。あぅ。と両手を伸ばし、私が持っているヤギのミルクをねだった。
私はステラを抱え上げ、近くにある椅子に座り、ミルクを飲ませる。
いつのまにか、これが日課になってしまったな。
ミルクを沸かしたり、必要な物を作ったり、何回もあやしたりと、いろいろやることが多くて大変ではあるが、時間を持て余していた私にとっては、むしろ今の生活方がいいのかもしれないな。
しばらくして、ステラはミルクを飲み干した。
ステラから空になった瓶を受け取り、隣の机に瓶を置いた後、私は、ステラを体に寄り掛からせ、背中をポンポンと叩いた。
ゲプッ。
ステラは小さなゲップをした。
よし。お腹いっぱいになって、ゲップもしたことだし、次は、お前の服を作りにいかないとな。
そう言って、私は立ち上がり、ステラをゆりかごの中に入れようとしたところ、ステラは手足をジタバタとさせ、入りたく無いと嫌がった。
困ったな…まだ私と一緒に居たいのかい?
今日はずいぶん甘えん坊さんだな。
仕方ない。
なら、もう少しだけ一緒に居ようか。
そうだ。
昨日読んだ話の続きを読んであげよう。
私は机に置いてあった本を手に取り、読み始めた。
……そうして、小さな少年は家族と再会し、
幸せに過ごしましたとさ。
おしまい、おしまい。
どうだ?面白かったか?
私はそうやって、ステラの顔を見てみると、ステラはこちらをみて笑っていた。
まだ、内容を理解するには少し早かったかな。
私は、人差し指でステラのほっぺをそっと触った。
あ!あ!
なんだ?私を呼んでいるのか?
まだ喋るのには早いかもしれないが、今のうちに私の呼び方を覚えさせるのもいいかもしれない。
そうだな…ステラにとって私は親?とはまた少し違うような…
そうだ。師匠はどうだ?
師匠。言えるか?
し、しょ、う。
し。し……しょー
そうだ。私がお前の師匠だ。
ステラは大きくてキラキラした瞳でらこちらを見つめて、し…しょー。と、さっきよりもしっかりとした声で、私を呼んだ。
うちの息子は天才だ!
昔、副団長の言っていた言葉が頭をよぎった。
子供が喋ったぐらいで、なぜ親はそこまで喜んだり騒いだりするのか。
当時、私は理解出来なかったが、今なら副団長の気持ちが少し分かる気がする。
そう思った。