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ランビエの絞輪  作者: 久遠 三輪
第三章 ネクローシス他殺
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01 一夜が明けて

 錦城の死から、一夜が明けた。栄養部の朝礼で、小絵が錦城の急逝を、他のセクションの管理栄養士にも告げた。だが、錦城と面識がないため、反応は薄かった。


 精神科病棟の入院患者には、パニックを避けるため、錦城の死は告げていない。見舞いに来た患者の家族には、事実を伝えたが、こちらも反応が薄かった。主治医や担当看護師の名前は記憶している。だが、精神科の医局長が誰なのか、把握している者は少なかった。


 芦屋医大の精神科に従事する医療スタッフにとって、錦城の存在は絶大だった。だが、実際に悲しんでいる者は少ない。他のセクションの者や部外者は、気にも留めていなかった。結局、錦城の存在は、井の中の蛙だった。舞は、錦城が哀れに感じられた。


 回診後、優子とともに、精神科病棟の事務室に寄った。辛嶋の姿が見られた。辛嶋が、優子に近付いてくる。


「優子先生に、患者の割り振りについて、ご相談がありましてね」


 優子が頷くと、舞のほうを見て、退室を促した。


 舞は、二人に黙礼すると、事務室を出た。廊下の角を曲がる前に、事務室を見た。ガラス窓越しに見える、優子と辛嶋の姿は、打ち解けているように見えた。


 辛嶋は、錦城派の医師として、優子と敵対していた。カンファレンス時は、いつも優子や角倉の発言を馬鹿にしていた。錦城の手前、そうした態度を取っていたのか?


 錦城の死で、静かに、何かが、大きく変化しようとしている。


――錦城先生には、隠れた敵が多かったのでは? それとも、桐花の精神鑑定を阻止したい者がいたのか?


 錦城の表向きの死因は、脳梗塞となっている。解剖結果の詳細は、まだ知らされていない。脳梗塞と見せかけた他殺……。舞は、脳梗塞の発生機序を、目紛るしく反芻した。

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