5歳の誕生日
僕、ケイド・ライデンは父がタイル、母がマキナの優しい両親のもとに生まれた。父は侯爵家の当主で、僕はそのライデン家の一人息子だ。
ケイドの誕生は、両親にとって何よりの喜びだった。タイルは我が子を高く抱き上げ、マキナは優しくケイドを抱きしめた。
「ケイド、お前はライデン家の希望だ」
タイルの言葉は、ケイドの運命を予感させるものだった。
ケイドは健やかに成長した。初めての言葉、初めての一歩。すべてが両親にとって、かけがえのない瞬間だった。
2歳になると、家の中での冒険が日課になった。
「ケイド様!書斎には入ってはいけません!」
エマの声が家中に響く。エマは僕が生まれたときに、この家にやってきた僕のお世話係である。エマもとても優しく、僕のことを家族のように見守ってくれている。だから僕はエマが大好きだ。
「しょしゃいいがい、あきたのー」
この家は侯爵家なので、他の家に比べると数倍の大きさがある。しかし、家探検が日課の2歳児の僕にとっては、いくら家が大きいからといっても毎日のように探検していると飽きてしまうものだ。
「私がご当主様に怒られるんですから、我慢してください」
いくらエマが優しくて僕が駄々をこねても、このお願いばかりはいつも成功しない。
「ケイド様。おやつにベリーの実を食べましょう」
真っ赤に熟れているベリーの実。僕の大好物だ。エマはいつもこうして、書斎への興味をそらしてくるのだ。
そんな毎日を過ごし、僕は3歳になった。父は時折、木剣を手に僕の相手をした。まだ歩くことも満足にできない僕だったが、木剣を握る小さな手は確かな力強さを感じさせた。
「いつか、お前も立派な剣士になるのだぞ」
タイルの言葉に、僕は力強く木剣を振るのだった。
4歳になった僕は、庭を駆け回るのが日課になっていた。ある日、僕は走っている最中に転んでしまった。膝から血が流れ、大粒の涙を流した。
そこへ駆けつけたマキナは、僕の膝に手をかざした。すると、不思議なことに傷がみるみる癒えていったのだ。
「痛くなくなったでしょう。でも、また同じことしちゃダメよ」
マキナの優しい言葉に頷いた。母の不思議な力に、僕は強く心を惹かれるのだった。
そして、僕の5歳の誕生日がやってきた。5歳になると創造神イオ様からギフトを授かるという。ギフトはステータスと念じると確認することができる。
目を覚すと、自分のステータスを念じた。すると、頭の中に不思議な言葉が浮かんできた。
【圧縮 Lv.1】
その言葉の意味は、すぐにわかった。僕は物を圧縮する能力を持っているのだ。
「あっしゅく?っていうギフトだったよ」
タイルとマキナが僕を抱きしめた。
「おめでとう、ケイド。きっとすごい力に違いない」
「大切な力だから、上手に使うのよ」
両親の言葉に、僕は力強く頷いた。この日から、僕の新たな人生が始まるのだった。