土地の予約
「このスープ、具が少ないな」
「塩も少ないぞ」
「おらは食べ物があるだけでありがてぇ」
俺たちが開拓団の皆から離れたところでブツブツ言いながら配給の夕食を食べている遥か先に、井戸を囲む様にムサイ男たちががつがつとパンと薄いスープの食事を貪っていた。
元々食い詰めた者が多いというのは本当だったんだろうなと思いつつ、今はどこを俺たちのプライベートエリアにするかを決め、村長に予約しなければならない。
「俺が行ったのは南の方で、途中から森が始まっていた。小川だけれど川が流れていて、腐葉土もあっちこっちにあった。農業の事は知らないけど黒っぽい土が良いと聞いた気がするんだが、これが森の入口で採って来た土だ」と皆に見える様に土の上に置いた。
3人がじっとその土を見た。
そろそろ夕日が落ちるので、この後であったら折角採って来た土を確認してもらえないと思い、俺から報告を始めさせてもらった。
辰徳が行った方向には水はなく、平原だけれども土は固かったらしい。
井ノ川の方向も同じ様な感じらしい。
この村に到着するまでに馬車から見えた景色そのまんまらしい。
「俺は街道を先に進んだが、小川があった。恐らく山田が言っていた小川と繋がっているんだと思う。平原で小川もあるとなると、開拓団の多くの奴らが狙うんじゃないかと思う。土の質までは見てないが、広い面積を俺たちだけで占有するのはちょっと難しいと思う」と高橋の報告があり、結局俺が見て来た森の中に俺たちのエリアを作る事にした。
「食べ終わったら早速、俺がトボガンの奴にその森の予約をしてくる」
スープと固いパンしかない夕食なので早く食べ終わろうと思ったらあっと言う間に終わってしまったので、高橋が実際の土地を知っている俺を連れて、トボガンが持つ地図と呼ぶのも烏滸がましい様な簡単な図の中に、このあたりと広い土地を指示した。
「用地の申請をしたいんだが今いいか?」
村長とその弟夫婦は村長の館の中でちゃんとした夕食を食べ終わったばかりの様だった。
皿の数でスープとパンだけではないのが明白だが、俺たちはマジックバックに王都のいろんな食堂の料理を入れて来ているから、腹が空けば自分たちの食べる物は1ヶ月分くらいあるので気にならない。
この後、馬車の中で4人で何かを口に入れてから眠る事になりそうだ。
トボガンは棚から地図らしきモノを取り出し、「どの辺か?さっき可成りの村人が申請してきたのでめぼしい土地は殆ど予約が入ってるぞ。え?こんなに広い土地を最初から予約ってちゃんと開拓できるのかい?」とテーブルの上に広げた地図に俺たちが指示したエリアを見て呆れた様だ。
「男4人だし、畑を耕すのに家畜を使う予定だ。それに牧場も併設したいからこのくらいは必要だ。この図を見ると他の誰もこの辺を希望していないみたいだから、開拓が進んで更に用地を広げる時はまた申告すればいいだよな?」と高橋がのっけから強気な発言で押し切った。
「新たに土地を広げる際は、今申請している所の開拓が終ってからでないと受け付けんぞ」と向こうもこっちへ釘を刺すのを忘れない。
まぁ、俺たちには魔法もあるし、すぐに開拓は終わるだろう。
俺は小川の位置が簡単に描き込まれた地図とも言えない地図の森との接触部分あたりを指して、「俺たち4人はこの森を開拓するつもりだ。木を伐採して開拓しなくてはいけないので、時間を置けば伐採した土地に木が侵入してくるはずだ。それを防ぐために、俺たちの土地の周りを塀でぐるっと囲んでもいいか?」と聞いた。
「平地にすれば伐採しなくて良いのに、森でいいのか?村からも可成り離れているぞ」と聞かれたから、「それで良い」と答えたら、「塀は耕した土地や家のある部分から3メートル以上離れていない場所であれば建てて良いぞ」と許可を出してくれた。




