開拓団募集
「おい、あそこ見ろよ」
井ノ川が指差した先に文字だけの瓦版みたいな物が貼り付けてあった。
識字率が低いのでこういうポスターには絵というか、子供が落書きをした様な絵と言った方が正しいが、そういうモノが描いてる事が多いのに、これに関しては文字だけだった。
そこには開拓団募集と書いてあった。
昨夜、今後の事について話し合ったけど、どうするかまだ決まっていなかったので、とりあえず町中を見て決めようと男4人で歩いていた時に見つけたポスターだった。
この国では土地はそれを開拓した者の所有にする事が出来、今年は国の南側に新しく開拓村を作るそうだ。
その村への移住希望者を募っているという内容だった。
開拓した者は最初の年から5年間は税が免除されることや、開拓する土地は村の中でも外でも問題がない事、村で共同で使える井戸1本の建設と塩等を売る行商人の年2回の派遣を国が約束している事等が書かれていた。
「おい、村はずれなら俺たちだけのプライベートエリアを築けるんじゃないか?で、村ならよそ者が来ればすぐに分かるし、町より安全だと思うぞ」
「井ノ川の言う通りだな。何々、支度金ももらえるそうだぞ」
高橋がポスターを見て、可成り乗り気だ。
「一人当たり金貨1枚、土地は耕せるだけくれるって事だな。井戸は各自で掘っても良いとも書いてあるな。よし、これに参加しようぜ」
辰徳まで乗り気の様だ。
「ほらさぁ、よく海外なんかのお金持ちエリアに、そこだけ塀に囲まれて入口に警備員がいる様な閉ざされたプライベートエリアってあるじゃんか。俺たちも村の外れにそういうの建てて、俺たちだけで暮らせば良いんじゃないか?村から結構離れていたり、高い塀をちゃっちゃと作れば、中で土魔法をジャンジャン使って家や畑を作っても村人に見とがめられないと思うぜ。だから魔法を使っても俺たちが勇者だとは分からないだろう?」
井ノ川の説得が何気にすごく、これがとても良い案だと段々俺にも思えて来た。
勇者の体力や力、魔法をもってすれば、家を建てたり、畑を耕したり、井戸を掘ったりはすぐに出来るはずだ。
高い塀の中に自分たちしか住んでおらず、塩とか生活必需品は行商人が少し離れた村へ年に2回も売りに来る事は確約されているんだから、安心だ。
鍬などの鉄製の農具は店や商品が豊富な王都で揃え、馬とか牛とかの家畜も買えば、移動や農作業も楽になるだろうし、肉や乳製品だって定期的に口にする事が出来る。
プライベートエリア内の農地や家などが整ったら、外部から小作人を雇って野良仕事はそいつらにさせてもいいんだしな。
何なら、勇者の足の早さを活かして町に仕入れに行き、マジックバックに収めて戻り、それを売る小さな店を開いたっていいんだしね。
この案、いいかもしんない。
そこで俺たちはこの開拓村に外国の冒険者でも参加できるかという質問をしに役場まで行った。
「はい、身分を証明するモノをお持ちで、この国の人間になるお気持ちがあれば、開拓団に加われます。また、おっしゃられる様に、村から少し離れた所の土地を耕す事も問題ありませんし、ご自分の敷地内に井戸を作るのも自由です。もし、参加をご希望されるのなら、村長にご紹介しますがいかがされますか?」
役場のおじさんは丁寧な人で、薄汚れた冒険者である俺たちの質問全てに応えてくれた。
まぁ、俺たちの腰にあるマジックバックを見たからかそれなりに成功している冒険者だと思ってくれての対応なのかもしれないがな。
そして、村長であるトボガンという人との面談をセッティングしてくれた。




