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謁見の間

「皆さま、ここが城です。今から王様と謁見して頂きますが、今回は、王族と皆さんを自宅に招き入れる事に同意している貴族家の当主たちしかおりませんので、堅苦しく感じる必要はございません。では、謁見の間へお連れ致します」

 顎鬚が俺たちを先導し、二階にある大きな扉の前に立った。


 扉脇に控えていた兵によって音も無く扉が開かれ、奥に王らしき人物が黄金色の椅子に座っているのが見えた。

 両脇の壁に並んで立っているが恐らく受入側の貴族当主たちだろう。


「国王様。今期の勇者様方でございます」

 ダムエルが王の5メートル前くらいで立ち止まり、片膝を折って床に控えた。

「うむ」

「今期の勇者様方は、槍術、体力の・・・・」

 と、一人一人俺たちのスキルを声高に紹介する。

 しかし、俺たちの名前についてはこれまでも聞かれていないし、王にも名前は紹介しない様だ。


「そうか、水魔法、火魔法、氷魔法、剣術スキル持ちの勇者様は、王城内にある魔術院で勉強して頂く事になるので、余の方で受け入れよう」


 高橋の受入先が王家である事が決まると、後は壁際に居た貴族家当主が俺たちの向かいに一列に並び、ダムエルが良い組み合わせと思う勇者と貴族家をマッチングさせる形で紹介して来た。

 俺たちに受入側の情報はなく、今この謁見の間にいる当主たちを見て得た印象しか情報として持ち合わせる事ができない。

「どうしても別の貴族家が良いと思う場合は、遠慮なく言って下さい」と言われても、こんな状態で紹介された貴族家を受け入れるか判断しろと言われても、みんなが戸惑ってしまっている。

 かく言う俺もだ。


「では、こうしてみてはいかがでしょう。一旦、今ご紹介した貴族家で各勇者様のお世話をしてもらい、どうしても合わないなと思われたら、別の貴族家をご紹介させて頂くという事にすれば安心して頂けるのではないかと存じます」

 ダムエルが言う通り、こちらから選ぶにしてもその基準となる情報がないので選びようがない。

 後日、合わないと思えば、別の受入先を用意してもらえるならば様子見というのは悪い手ではない。

 全員が一旦は納得し、そのまま受け入れを申し出てくれている貴族家に連れられて、それぞれの家へ連れて行かれる事になった。


「戦闘訓練、いえ、護身の為の訓練については城内の訓練場にて合同で受けて頂くつもりです。その後一定の水準に達してからは、各貴族家の御子息とパーティを組んで頂きます。各貴族家にはしっかり勇者様をお守りして頂く様お願い致します。何か問題があれば、毎日私が皆さまと顔を合わせますので、私におっしゃって下さい」


 一列に並んでいた中で先ほど俺にと言われた貴族家当主を、ダムエルは俺の前に連れて来てた。

 これは順番に同じ様な手順が踏まれおり、俺のすぐ横にいた乃木坂の所は先に紹介がされていたが、ちょっと揉めていた感じだった。


「スキルが一つですと?それは我が家が子爵家だからですかっ!?」と貴族の当主がダムエルに詰め寄っている。

「何をおっしゃいます。法律通り順番に受け入れをして頂いているのです。どうしても嫌とおっしゃるなら、それを考慮致しますが、今後いかなる便宜も図る事は出来かねますのでご了承下さい」

「ちょっ、ちょっと待ってくれ。そんな心算で言ったんじゃない」と、二人の間で色々やり取りをしている横で、乃木坂が体を一際小さく縮めていた。


 その直ぐ後での貴族家紹介で、俺は少し身構えた。

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