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斎藤救出作戦

「斎藤の髪の色は見えたか?あそこの貴族家の子息の髪は何色だったっけ?」

「あそこは紺だな」

「うわぁ、遠目だと見分けがつきづらいな」


 勇者の体になってからは目も良くなったのか、全員遠くまで良く見えるのだが、日陰に居る斎藤の髪が黒なのか紺なのかはここからでは見分けが付かない。

 山口はまだ黒髪だ。

 あそこの息子達の髪はピンクだから直ぐに見分けがつくのだ。


「なぁ、乃木坂の時って、赤色の髪なったら合同訓練にも来なくなったよな?」

「あっ、そうか!ということはまだ斎藤も乗っ取られてない可能性が高いな」

 辰徳の言葉に皆で頷き、結局2班に分かれて夜中に二人を救い出す事にした。


 各館の塀を超えないといけないので、土魔法が使える俺と斥候職で身軽な井ノ川は別の班になる事になった。

 万が一の時は高橋の火魔法で、火事を誘発する事も考えて、俺と辰徳、井ノ川と高橋でチームを組んだ。


 今回ザイディール国王都への侵入は夜中に土魔法の階段を出し、門から離れた所から無断侵入したのだが、そこを集合場所にして二手に分かれた。


 俺たちは斎藤を担当し、高橋たちが山口だ。

 共同訓練が終了して夫々の貴族家へ移動するのを追尾したので、自分が担当する貴族家の屋敷は分かった。


 土魔法の階段を多用して、辰徳と一緒に何とか斎藤が囚われている貴族家の中に入り込んだが、斎藤がどこにいるのかが分からない。

 土魔法で足場を窓の外に作り、ちょっとづつ時間を掛けて外から中を覗いてみた所、どうやら地上階にはいなさそうだったので、屋敷の者が寝入るのを待って、一旦建物の中に入り地下を目指した。


 足音がしない様に素足になって家の中を歩き回った。

 そうすると調理場の横の薄暗い場所に扉があり、それを開けると地下へ行く階段が見えた。

 二人ともが地下へ行った後に万が一見つかってしまうと、そこから出られなくなるので、辰徳には地上階の暗がりに隠れてもらった。


 ぐずぐずしていたら、何時誰に見つかるか分からないので足早に階段を降りると、木の扉が4つあり、その一つの部屋に斎藤が居た。

 2つは食糧庫だが、斎藤が居たところとその隣は地下牢だった。

 扉には南京錠が付いていた。

 助かった。

 鍵が南京錠なら簡単に開けられる。

 シャックルとい呼ばれる鍵を何かに引掛けるための金具の部分に、土魔法で出した鋼くらい強い棒2本を差し込み、ぐっと力を入れ梃子の要領でシャックルを鍵から簡単に外し中へ入ると、斎藤の横には女が眠っていた。


 さて、どうやって斎藤だけを起こしたものか・・・・。

 まずは斎藤の口を塞ぎ、軽く揺すって見た。


「うん・・・・」

 斎藤の耳元で小さく「おい、斎藤、起きろ」と日本語で言ってみた。

「うん・・・・」

 斎藤はまだ起きない。

 もし先に女の方が起きて叫びでもされたらアウトだ。

 先に女を殺すか・・・・。


 既に数人殺してしまったこの手で、またもう一人くらいとは到底思えなかった。

 出来るだけ犠牲者は出したくないのだ。

 もう一度だけと思い斎藤を軽く揺する。


「ん?何?」くぐもった声がした。

 漸く斎藤が起きた。


 斎藤がしゃべり出しそうだったので、もっと強く口を押さえ、反対の手で口の前に人差し指を立てた。

 だが、斎藤が大きく動いたからだろう。

 女の方も「う~~ん」と声を出して、起きつつあった。

 背に腹は代えられん!

 殺すよりはマシだと、寝ている女に猿轡を嵌め、簀巻きにした。


「助けに来てくれたのか」

 斎藤が俺の顔を凝視した。

「うん。ここから出ないといけないので、静かにな」と言って、辰徳の所まで連れて行った。

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