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チョーカーの意味

「はははははあ。勇者ども、お前たちはこれで我々の命令に背く事は出来なくなった!これからは死に物狂いで訓練をする様に!」

 ダムエルはニヤケタ顔のままそんな事を宣言した。


「「「なっ!」」」

 俺たちは驚愕してしまい、外れないと確認したばっかりのチョーカーを必死で外そうとしたが、外れる訳がなくパニックになった。


「赤い魔石のチョーカーを所持する者がお前たちの主になる。あはははは。これは隷属の首輪なので、主の発する命令は絶対だ。心して仕える様になっ!」


「何故っ?」

 高橋が悲壮な声で聞いた。


「何故と聞くのか?そんなの少し考えれば分かるだろう?我々の何倍もの力を持つものを野放しになんかできる訳なかろう?反抗する可能性のある者には枷を付けるのがお前たちの世界でも当たり前ではないのか?まぁ、我がザイディール国の為に身を粉にして仕える事だな」

 そう言うなり、ダムエルは訓練場を後にした。


 山口は直ぐに自分の受入貴族家の子息に掴みかかろうとしたが、「地に伏せろ!」と言われ、何かに無理矢理押さえつけられたかのように地べたに転がされた。

 子息はニヤリと笑って、山口の頭を靴を履いたままの足で押さえつけた。


「お前は私の僕となるのだ。私を害する事はどんな小さな事でも禁ずる!」と命令されてしまい、顔は反抗的なままだが、起き上がる事すら出来ない。

「靴の裏を舐めろ!」と同じ子息が命令すると、山口の顔は人間が到底する事のできない怪奇な表情を浮かべた。

 つまり、悔しそうな目や寄せられた眉にも関わらず大きな口をニヤっと開けて舌ベロを出し、子息の靴の裏を舐め、悔し涙を流すという、そして目は憎しみでいっぱいだった。


 子息は思いっきり山口の足や尻を蹴飛ばしたが、元々の体の丈夫さの違いからか山口が大きな痛みを感じてはいなさそうだった。

 それでも本能のせいか、それに対し防御の姿勢を取ろうとして体を動かしていたら、「体を動かすな!」という命令を発せられ、結局防御の姿勢を取る事もできなかった。


「勇者の体を痛めつける事はおよしになった方がよろしいのでは?」という自家の騎士の進言により、何とか鉾を納めた子息は、「立ち上がって大人しく付いて来い」と山口に命令をした。

 山口は光の消えた眼差しのまま嫌々子息について行き、訓練場を出て行った。


 それを見ていた他の貴族家の子息も一様に、「私を害する事はどんな些細な事でも禁ずる」と唱えており、私もリーブンに命令されるまま、彼の言う通りに体を動すことを強要された。

 目だけは辰徳を探し、アイツがどんな感じかを一所懸命探っていたら、向こうも俺の事を心配してくれていた様で、二人の視線が交差した。

 が、交差しただけで言葉を交わす事もなく、命ぜられた訓練を黙々と熟した。


 乃木坂は絶望の表情をにじませて訓練もそこそこにハーミットに命じられ家に連れて帰られた。

 あれ程受入貴族家に対し陰湿な態度を取っていたのだ、どれだけ甚振られる事か・・・・。


 山口と乃木坂が連れて行かれると、残った俺たちは己の身にこれから何が起こるのかと戦々恐々になった。

 まずはチョーカーに触れてみたり、自分の担当の貴族子息を見つめたり・・・・、どうにかしてこの状態から抜け出たいと足掻こうとした。

 それで分かったのは、我々が身に付けているチョーカーは受入先貴族の子息のチョーカーにしか紐づけられていない様で、俺はリーブンの命令にのみ反応する様だ。


「戦闘訓練、魔法訓練、どちらも精いっぱい体を壊す手前ギリギリまでやる様に」と言われ、それからは毎日休憩もほとんどない状態で一日中訓練をさせられる事になった。


 それは他のクラスメイトも同じで、毎日くたくたになるまで訓練をさせられた。

 チョーカーを装備させられた翌朝にはいつもの様に俺たちだけで集まって日本語で会話しているのを見て、「日本語で話す事を禁ずる」という命令が全ての貴族家から発せられた。

 これにより、彼らに分からない言語でクラスメイト間でのやり取りが出来なくなってしまった。

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