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基礎訓練

「まずは怪我をしない様に訓練場の中を走って下さい。その後に各武器に分かれて素振りの練習です。素振りは体にその武器にあった動きや型を覚えさせるためにする訓練です。短調ですが毎日する訓練です。気合を入れて頑張って下さい」


 ダムエルの説明の後、王城に務めている騎士の一人が掛け声を発し、貴族家の子息や騎士も含めて全員で訓練場をグルグルと走り出した。


 体力などの基礎力がそもそも違うのか、俺たちクラスメイトと貴族の子息の間には3周の差があっと言う前に付いてしまった。

 どの貴族の後継ぎも真剣な顔で走っている。

 でも、俺たちには軽く引き離されるのだが、キラキラした目で嬉しそうに俺たちを見ている。

 何なんだろうな?そんな目で見られると、ちょっと気持ち悪いぞ。

 先頭を走っていた騎士も現地の人にしたら結構鍛えられている様だったが、いつの間にか後ろの方を走っており、そろそろ5周遅れになりそうだ。


「おい、俺たちって凄いな!」

「スキルだけじゃなかったんだな」

「ここまで差があると、貴族とパーティ何て組めるのかって思うよな」


 皆、好き勝手な事を言っていたが、斎藤と乃木坂が徐々に先頭集団から引き離され始めた。

 体重が重たいので、負荷が俺たちよりも大きいのが原因か?

 先に音を上げたのは斎藤だ。


「俺様は異世界渡りで強化されているので、今更訓練なんてして基礎体力を上げなくても問題ないのだよ」

 いつもの様に嘯く斎藤に、クラスメイトはウザイ奴という視線を投げかけるだけだ。


 教官役の騎士が斎藤に何か話しかけているが聞く耳持たずな態度で、勝手に練習場の外枠に設置してある椅子に座ったのが目に入った。

 乃木坂は、訓練場の土の上に座り込み、荒い息をしている。

 そしていつもの様に暗い眼差しを土に向け、話し掛けて来た騎士を無視している。


 あの二人がもう少し我慢を覚えれば、もっと色んな可能性が開けると思うのだけど、俺たちは俺たちで自分の置かれた新たな状況に馴染むので精いっぱいで、他人の事まで手が回らない。

 皆で目配せだけして、無言でマラソンを続ける。


「よし!走るのは止め。息を整えたら、武器別にグループを作るぞ」

 教官役の騎士は、走り終えるとそのまま止まって荒い息をしているが、俺たちクラスメイトは徐々にクールダウンする様地球で躾けられているので、「止まれ」と言われた後も少しだけ緩く走った。


 乃木坂は水をがぶ飲みしていて、今は脇腹を押さえている。

 水は飲んでも良いけど、飲み過ぎるとそうなるんだよな。

 普段、スポーツをやらないから知らなかったのかな?なんて思いながら乃木坂を見ていた。


 奴は教官役の騎士に何かを言って、訓練場の外側の席に座った。

 乃木坂も斎藤も離れた席に座って居るので、二人の間で会話はない。

 同族嫌悪なのだろうか?あの二人ってあまり会話をしているのを見た事がないな。

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