06 魔法の使い方
はいコロナかかってました
「次は魔法を使いましょう。魔法は低位、中位、高位、最高位、極位の5段界に別れているわ。まずは低位の魔法から使いましょう。この本によれば貴方の魔法は深淵魔法と呼ばれているわ、私の聖魔法と同じで世界で1人しか現れないと書いてあるわ。主に使えるのは劣化と歪み。使い方は手探りでやるしかなさそうね。魔法は人によって使い方や感覚が違う、同じ魔法だったら感覚ぐらいは教えられるけど。本で見た感じ私の魔法と貴方の魔法は系統が真逆、私が教えても意味がないわ。この本に書いてあることは私が書き写すわ。貴方はそれを見ながらコツを掴みなさい」
お嬢様は無駄に魔力が帯びているペンらしきものを取り出した。私が見えている世界は分かりやすく言うとモノクロで魔力が帯びているものは灰色〜黒色に見えていて、その他は真っ白だ。お嬢様が持っているペンはかなり真っ黒だ。
「お嬢様それは?」
「これ?これはアーティファクトよちょっと前にあの男の宝物庫から盗んだ……いや拝借したものよ」
お嬢様、盗んだって………。
「はぁ………アーティファクトと言われますがただのペンに見えますよ」
「えぇただのペンよ。書いた文字が魔力で魔力感知ができない人には見えないだけよ」
なんだかんだ凄そうだ。果物の汁で文字を書くあぶりだしに似たものだろう。
「まぁ本は任せなさい。これは借りよいつか返してもらうわ」
お嬢様が私のためにやってくれるらしい。これ以上借りを作られると死ぬまで返せなさそうです。
「お嬢様、私ごときのために有難うございます」
***
「おっ終わったわ………」
3時間ほど魔力感知の練習のついでに掃除を行っていたときお嬢様が疲弊した声を上げた。
「お嬢様お疲れ様です。周りの掃除をしておきました。と言っても床に落ちてた本を棚に直しただけですけど」
「片付けありがと、今は3時か……私は寝るわ。貴方は部屋がないからここに残って朝までに低位の魔法を1つぐらいできるようになりなさいあとそれを頭の中に叩き込みなさい」
お嬢様が立ち上がり地下から出ていく、お嬢様になかなかキツイ課題を出されたが、お嬢様の努力を無駄にしないために頑張るか。
お嬢様が書き写した紙に目を通す。この文字は日本語ではなさそう……だけど何故か理解できる。まあ深いことは考えない用にしよう。魔法というものがあるんだ不思議なこともあるだろう。
紙には魔法の詳細、低位〜極位の魔法効果などが書いてある。
低位の魔法は基本魔力消費が少ないようだ。この中で簡単そうなものは………。
【腐食】物体の機能を低下もしくは無効化する。
これかな、私の知識内で一番わかりやすそうだ。練習台に金属か食べ物が欲しいけど流石にお嬢様の許可なしにここのものを壊す訳にはいかない………どうしようかな。う〜ん……分かった、私の体で練習しよう。腐食されたかは見えないけど。痛みと魔力感知で確認すれば分かるでしょう。今腐食されても問題ないのは左手かな。私の手を食べ物だと仮定して腐らせてみる。魔法を使ってみようとするが魔法が発動している気配がない。う〜んまずは魔法感知と同じように自分の身体から魔力を出してみよう。
おっ出た出た。これで腐食の魔法を使えるようにすれば。
「いッ」
腕が腐食するイメージをした途端、腕にとてつもない激痛が走った。触ってみると魔法を行使したところが腫れて、とてつもない熱を発している。これは体が壊死したときの症状に似ている。腕の感覚が無くなるのも時間の問題だろう。そんなことより私は魔法を使えたことに興奮している。他の魔法も使ってみたい。
***
「おはよ〜う、魔法を使うコツぐらいは掴めたかしら………ってクリムどうしたのよ。直ぐに治すわ」
恐らく朝になったのだろうお嬢様が地下に入ってきた。お嬢様は直ぐに私の状態を見て治癒を施してくださった。
「お嬢様気になさらないでくだい。これは私が魔法を使った痕です。練習するにも使えるものがなさそうでしたし、お嬢様の許可なく勝手に物色するわけにもいかなかったので。」
私はお嬢様にことの発端を説明する。結局壊死した腕のせいで魔力の流れが乱されて、私は他の魔法の練習ができなかったせいで少し落ち込んでいた。
「夜の間に魔法のコツぐらいつかめれば良い方と思っていたのだけど、まさか自分の体を練習台にするとは思わなかったわ。いやこれは私の落ち度ね、クリムいいかしら。貴方はもう少し自分の身体を大切にしなさい。今回のようなことがあったら私に言いなさい」
お嬢様が私を咎めた。
「はいわかりました」
わざわざ怪我をしてお嬢様の手をわずらわせる訳にはいかないな。こういうのは控えるようにしよう。
「はぁ、予定より早く終わったわね。今日から少しずつ魔法の練習をしなさい。10日以内に高位の一個ぐらいは使えるようにしなさい。最近王国がちょっかいをかけてきてるわ近々戦争も起こるでしょう、私は戦争に出なくちゃいけないからサポートできるようにしなさい」
戦争か……。やっぱりどんな世界でも戦争は起こるんだな。
***
「1週間も経つと貴方のメイド服も様になって見えるわね」
あれから7日経ち、お嬢様の専属メイドとして任された。この7日で低位と中位魔法がある程度使えるようになり、メイドとして料理や掃除が感覚でできるようになった。物の場所が変わってなければだけど。
「お褒めいただき有難うございます」
そんな朝の食事ついでに話していると、鎧の音がこちらに向かってくるのが聞こえた。私は警戒のため手に馴染んで扱いやすいナイフを持ち魔法の発動用意をする。
「レミルラ様王から召集がかかっています。お急ぎご準備なさってください。それとクリムさんにも召集がかかっています」
来たのはよく武器の練習に付き合ってくれた兵士の人だった。う〜ん物越しに魔力は感じれないからよくこういう事が起こる最初の頃はは入ってきたこの方に腐食の魔法をかけちゃったっけ。お陰で鎧が使い物にならなくなって大変だったな。というかなんで私に召集が?
「クリム先に準備なさい。あぁ何で自分が召集に?って思ってるわね。それはね私が王に頼んだからよ。
私を呼ぶなら私のメイドも召集をかけなさいって。貴方が戦争前には戦えると思っていたからね」
なんか私が知らないうちに話が執り行われてたらしい。まあお嬢様がやることだ、私が口出しすることじゃないか。
「わかりました。皿お下げしますね」
お嬢様の料理を下げて私は、与えられた自室に戻る。
***
「アルバス伝令ありがとう。まさかあの子も貴方が英雄なんて思ってないでしょうね」
「ははっ、まあ私は他の方より魔力量は普通ですからね」
レミルラとアルバスと呼ばれる男が楽しそうに談笑する。
「で貴方から見てあの子はどう思う?」
「そうですね………。はっきり言うと化け物ですかね。まさか数日で私の剣が防がれるとは思いませんでしたよ。本当にあの人は目が見えてないんですか?」
アルバスが率直に感想を述べる。
「私の予想以上で良かったわ。貴方の腕鈍ったんじゃない?豪剣のアルバス」
レミルラが皮肉交じりに言う。
「ははっまだまだ現役ですよ。でもクリムさんはかなり覚えるのが早いです。私の動きのパターンをかなり把握されて今は少し戦いづらいですね。魔法なしだと他の英雄よりも強いと思いますよ」
「他の英雄って他のやつ全員魔法メインじゃない。剣術だけで英雄になったの貴方だけよ。貴方ただの土魔法使いだし使い方もかなり適当じゃない」
そんな会話はクリムは知らないのであった。
「準備しろって言われたけど王に合う準備ってなに?お嬢様に聞きに行こう」
先のストーリーばっか考えすぎて直近の話が考えつかない