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13 シン

「それでお嬢様は何故、公務をほったらかしてその子に勉強を教えているのですか?」

レミルラは帰ってきてから早々に自室に入った。しかしどれだけ経っても部屋から出て来ないため、部屋に入ると持って帰ってきた子供に何かを教えている様子が見られた。

「だって最近は公務ちゃんとしてたじゃない。だからちょっとぐらいサボっても⋯⋯」

「ダメです。お嬢様がサボった分、捌く書類は増えるのですよ」

「あのクソ親父に任せればいいじゃない。私がアイツより頭が良いからって仕事を任せるなんておかしいでしょ」

「あの方も公務はしていますよ。他のメイドの人に聞いただけで真偽は分かりかねますが」

「今日ぐらいはいいじゃない。私は帝国の切り札の1つよ、仕事をほったらした所でどうこうできるはず無いじゃない」

最近はお嬢様の面倒くさがりが酷くなった様に感じます。それは別に構わないんですけどね、問題はお嬢様が連れてきた得体の知れない子供と一緒に居るのが怖いんですよね。これは私のエゴでしょうか⋯⋯。

「クリムそんな顔をしないで⋯⋯」

どうやら顔に出ていたようですね。

「でもこの子は私以外が触ろうとすると攻撃するのよ。だから貴方にも任せることが出来ないわ」

無駄に怪我をしてお嬢様の手を煩わせる訳にもいきませんか⋯。

「でも安心していいわ。この子、既に文字の読み書きはできているわ。教え始めて数時間しか経ってないのに⋯⋯頭が良すぎるわね。少し単語を覚えさせたら公務に戻る事にするわね」

「分かりました。では私はお嬢様の部屋のお掃除をします」

お嬢様の「よろしくね」という声を聞き、私は部屋を出た。


掃除は朝しておきたかったんですけどね。

「おっクリムさん何してんだ?」

この声はガイズですね。私が足音に気が付かないとは。

「私はお嬢様の部屋の掃除をしに行く途中です。ガイズはどうしてここに居るのですか?」

「俺は実験だ。音を消す鉱石を鎧にしてクリムさんに近ずいたら気づくのかと思ってな」

「足音が無かったのはそれのせいですか。そのような鉱石があるとは知りませんでしたよ」

「だって無いからな。探せばあるかもしれないがこれは【金属生成】で作ったんだよ」

ガイズも成長が早すぎますね。

「じゃあ俺は姉御にも見せてくるわ」

「今はあの子供に勉強を教えてますよ。部屋に入る時は静かにして下さいね」

「分かった、じゃあな」

足音は聞こえないがお嬢様の元へ向かったのでしょう。

予想外の所で弱点が増えましたね。弱点を補う技術を磨かないといけませんね。

目が見えればもっと魔法を使えるのですけど。


***


「このページは覚えたかしら?」

「⋯(こくこく)」

目の前の子は私の質問に首を縦に振って肯定する。

「そういえば貴方に名前はあるの?」

この子は元々スラムで拾ってきた子供だ。名前はない人間の方が多いが有る者もいるため質問をする。

「⋯(ブンブン)」

この子は首を横に振り私の質問に否定をする。

「なら私が名ずけてもいいかしら?」

「⋯(こくこく)」

言ってみたけど肯定されるとは思わなかったわ。私はこの子を誘拐して実験道具にしたのだけど⋯⋯。そういえばこの子に好かれている理由が分からないわね。

「貴方は何故私に好意を持っているの?」

「⋯(カキカキ)」

子供はペンを取り、紙に文字を描き始めた。

「⋯【ママは私を作った。敬愛すべき】」

本当に頭が良いわね数時間でここまで文字を書けるとは⋯⋯。天才って怖いわね。

それにしても私が作ったことを理解しているなんて⋯⋯。

「私があなたを作った事はクリムには内緒にしてちょうだい」

「⋯【分かった】」

「あぁそういえば名前を付けるって話だったわね。そうね⋯⋯⋯シン⋯⋯シンにするわ」

「⋯【シン⋯分かった。ママが付けた名前大切にする】」

「ママと言われる歳ではないのだけど、まぁいいわ。そろそろ私は公務をしなければいけないわ。貴方はあそこの本を全て読ませてあげるわ」

私は地下の部屋にシンを連れて行き、何故か全身鎧を着たガイズをお守りとして置いていった。

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