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第九話「付き合わない二人」

康博は、大島先輩がタケオや杉本と飲んでいたこと、そこにミツエもいることなどを、手短に伝え煙草を咥え火をつけた。


「私、ミツエちゃんて全然理解できない」


実は麻衣は、以前からミツエのことがあまり好きではなかった。と言うか、こーいう女にだけはなりたくない‥くらいに思っていたので、康博がミツエと付き合い出した時は、一瞬彼の神経を疑いもしたのである。今の電話も康博の言葉からミツエの態度が想像でき、なんだか腹が立ってきたのだ。


「麻衣とは別の種類の女だからな。男に対する寄りかかり方の違いと言うか、プライドの差と言うか‥」

「どーせプライド無いんだったら、はっきり甘える分かりやすい女になっちゃえばいいのに」

「そのギリギリのところでプライド持ってるから、厄介なんだよ」

「どういうこと?」

「例えばミツエの本音を先読みして、”俺、お前のこと迎えに行かないよ”なんて言ってみなよ。すぐさま、”そんなこと言ってないでしょ” ってくるんだから」

「そこまで分かってて、随分手こずってたじゃないですか」

「おー、手厳しい!」

「でもさ、私たち何か悪いことした?」

「他の人と同じくらいは悪いんじゃない?」

「なんで?」

「とりあえず自分に責任がある、っていう謙虚な気持ちから物事を判断しないと、あの方々と同じになってしまうからね」

「でも、ルール違反はしてないつもりだよ」

「ルールも相手によって変えないと」

「めんどいね」

「そこが面白いところでもあるんだけどね」

「さっきは、面白がってる余裕なかった感じですよ」

「痛いとこつくね、麻衣は」


康博は「今夜の俺はなんも言えねー」と続け、笑いながら煙草をもみ消した。


「じゃあ、私と先輩が付き合ったらどうなるのかな」

「俺がお前に合わせるんじゃない?」

「そうかなぁ、先輩も結構わがままな方だからね」

「お互い付き合いながら、興味は他にいくんじゃないかな」

「とことん傷つけ合うとか?」

「あるいは、まるで他人みたいに距離を置いちゃうとか」

「それじゃ、付き合ってる意味ないんじゃないかなぁ」

「そうなるね」

「不毛だなぁ〜」


麻衣は笑いながら「とりあえず、やることやりますか?」と言って、英語の辞書を開いた。


このまま何事もなく終わるか?

‥と思えた二人の勉強が軌道に乗り始めた午前2時半過ぎ。


ピピピピ ピピピピ


康博のスマホが鳴り始めるのだった‥


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