第四十八話「いっつも勉強になるよ」
剣太の家。
部屋の隅では、一場と大月が煙草を吸いながら、対戦ゲームに興じている…。
壁際には、秋本に凭れかかりながら、紗矢がワッフルを食べていた。
紗矢は、ワッフルを一口食べてから、スマホを向けて、甘えるような声で愛莉に言う…。
「ねぇ、愛莉ちゃん。お願い!また、見せてよ?」
愛莉は顔を伏せたまま、か細い声で渋る。
「…恥ずかしいよ...」
紗矢は、上目遣いで愛莉の腕に縋りつき、いつもより少し低い声で言う。
「私のお願い、もう聞いてくれないの?」
紗矢の目が愛莉の目を無言で見つめる…。
紗矢と愛莉の歪な関係…。
愛莉の体は、剣太が気付かない程度にかすかに震えていた…。
愛莉は、震えを押し殺し、かすれるような声で「分かった」と答える。
愛莉は震える声で、剣太に確認した。
「剣太…、いい?」
剣太は、秋本たちの前での余裕を示すためか、笑みを作って言う。
「俺はもちろんいいよ。愛莉がいいならな?」
了承したものの、愛莉は恥ずかしさの余り固まる。
しかし、剣太はそんな愛莉を待たなかった。
剣太は愛莉を引き寄せキスをし…、舌を入れる。
「!!」
その勢いで布団がめくれ上がり、既に何もつけていなかった愛莉の体が、無防備に晒される。
「おっ。」
対戦ゲームに興じていた一場と大月が、目ざとくゲームの手を止め、視線をベッドに向けた。
その視線は、愛莉の肌を舐めるように下品にねっとりと這う。
剣太は、愛莉の唇を離すと、そのまま愛莉の胸に手をやり、強く揉みしだいた。
愛莉は恥ずかしさで死にそうな気持ちになる。
(紗矢ちゃんに見られる...。紗矢ちゃんだけじゃなく、秋本先輩達にまで...)
もう何度目か分からない。
紗矢の勉強という名目で、剣太との行為を見せさせられる…。
羞恥に耐える愛莉の上で、剣太は秋本たちの存在を意識して獰猛さを増していった…。
嫌なのに…嫌なのに、なんで剣太は…いつも断ってくれないの…。
愛莉は、周囲に体が固まるも、そんな愛莉にお構いなく、剣太はぐいぐい来る。
彼女は、いつものように、ただただ早く終わってくれることを祈ることしかできなかった…。
剣太の息遣いと、声が出るのを我慢する愛莉の声にならない声だけが響く空間…
そして…、剣太は数回の絶頂を迎え、愛莉の上で果てた。
愛莉の脇のシーツが…汚れた。
紗矢は、ワッフルを手に持ったまま、スッと立ち上がって近寄り、ベッドサイドから愛莉を見下ろす。
その目には、先ほどの甘えた様子はなく、冷たい光を宿していた。
「あーあ、剣太先輩のシーツが汚れちゃったね。愛莉ちゃん、舐めてきれいにしなくちゃダメだよ?」
その言葉は、まるで躾をするように冷徹だった。
愛莉はもう何も考えられずになり、羞恥心も絶望も、全てが麻痺してしまった。
彼女は言われた通り、這うように舌を動かし、シーツの汚れた部分を舐めてキレイにする。
一場と大月は、下品な目で2人の全てと、愛莉の体をまじまじと見つめていた。
彼らの顔には、この見世物への満足感が滲んでいる。
その光景の中、秋本は立ち上がり、紗矢に近づくと、優しく紗矢の頭を撫でた。
紗矢が秋本を見上げると、秋本は、紗矢に笑顔を返す。それは、邪悪な、しかし紗矢にとって最高の承認を示す笑顔だった…。
紗矢は、その笑顔に…全身が震える喜びを感じる。
自分が彼の期待に、完璧に機能したことへの高揚感。
紗矢にとっても、剣太は秋本を楽しませるためのツールになっていた。
「よくできました。きれいになったね。」
笑顔で紗矢は愛莉の頭を撫でる。
紗矢は、スマホの撮影を止めて、再び優しいトーンで愛莉に言う…。
「愛莉ちゃん、いつもありがとうね?いっつも勉強になるよ!」




