第三十四話「帰路」
「あれ?奏?」
「え?」
奏が後ろからの声に振り向くと…。
「あれ、コバちゃんと恵?どうしたの?」
「奏こそ。どこかの帰り?」
「私は、予備校の体験授業に行ってきたところ。」
「おおぅ。奏が眩しいでござるよ、恵…。」
私も恵と同じ気持ちだ。ストイックすぎるよこの子。壮馬といい、リョータといい、私の周りは完璧超人みたいな人が多い。時々、私は高校を間違えたかと思うくらいだ…。
「私も…、奏様が眩しすぎて…。」
私も恵に合わせて少しふざけてみる。
「コバちゃんまで何それ?(笑)」
奏はなんだか可笑しいようで、「で、どこか行ってたの?」とあらためて、2人に聞いてきた…
「実はね…、ダブルデートしてきた!」
「おお。聞きたい聞きたい!」
「実はね、勇人からめぐみんに連絡があって、向こうも男子2人だから、一緒に遊ばないかって。」
「それでそれで?」
●
先週、突然、勇人から恵に誘いがあったので、向こうも友達を連れてくるらしく、恵に付き添いを頼まれた話をした。
勇人は勇人なりに、何か、心境の変化もあったのか、終始楽しかったように見えた。
「恵はやっぱり…、まだ勇人が好きなの?」
奏が直球で聞いてきた。聞きづらいことを聞かせたら、ナンバーワンだ。
「うーん。どうだろう。嬉しかったのは嬉しかったんだけど…。以前の好きって気持ちとはちょっと違う気がする。」
「なんか深いこと言われた!で、勇人の友達はどうだった?コバちゃん的にはありだった?」
「いや、私は彼氏ありの単なる付き添いだったから、なしだよ?(笑)勇人の方の友達も付き添いみたいな感じだったし。」
「ドロドロした恋愛は来なかったんだ(笑)」
ふいに、奏にも聞いてみたくなったので…
「で、奏は誰が好きなの?気になる人は居ないの?」
「好きな人なんて居ないよ。」
「既に告ってきた男子は、3人だっけ?奏ちゃんってモテるんだね。」
「彼氏が居るコバちゃんに言われてもね。」
「いつか、奏ちゃんが好きになれる人が告ってきたらいいね。」
「え?何々?また、奏が蹴散らしたの?」
恵も乗ってきた。
「うーん。私、結構理想が高いのかもね。」
「いいんじゃない?好きな人なんて妥協したくないし。」
奏は相変わらず、恋愛に興味がなさそうだ。
そういえば…、男子とは割と距離感バグってるときもあるかと思えば、恋愛って雰囲気にまでなってるのは見たことない。大人な女性って感じはあんな感じなんだろうか?
時々、周りの子たちよりも、精神年齢高めに見える事がある。少し冷静すぎるところもあって、私は自分の幼さに凹むこともあるけども…。
なんて…、私が変なことを考えていると…
「こんな道で話し込むのもなんだし、どっかカラオケとか行く?」
奏から、思いついたかのように誘ってきた。
「うん。そうしよっか。」
恵が二つ返事で私の顔を見る。
「うん。」
私も頷く。
奏とは同じ学校でよく一緒に居るけど、学校外で会うのは久しぶりな気がする。少し嬉しい。




