閑話「Side唯」
「失敗したーーーーーーーっ!!」
長かったような、短かったような、春休みが終わり、高校生活が始まっていた。
いや、始まってしまっていたというのが心境に近いのかも知れない。
第一志望には受かったものの…、制服可愛いとか…。もう飽きたんですけど!!!
入って早々に実力テストって何!?聞いてないんですけどっ!?(怒)
ああー、奏に電話したら怒られるかなぁ。誰かと話ししたいよー。
もう、気が気でない。
皆、新しい生活にはもう慣れてるのかな…。
ちょっと机の上が散らかって来たかな…。
駄目だ。部屋の掃除がしたくなってきた。
よし、掃除をしよう。気分転換は必要って言うしね!!!
週末の実力を明日に控え、私はめっきり勉強に手が付かなくなっていた。
あれほど行きたかったK高だったけど…、遠い!遠いよっ!
机に散らばるノートを片付けつつ、3年間のことを思いだす。
あー、結局、私は彼氏ができなかったなぁ。
彼氏…、欲しかったなぁ。
何人か告ってきた男子は居たけど、私はうんと頷くことが最後までできなかった。
私はどうも恋愛がしたいのに、特定の誰かを好きになるってことに今一つピンと来ていない。
でも、思い返してみれば、私の周りの友だちたちも付きあった女子は少なかったかも知れない。
テニス部の女子は彼氏ができた子が多かった気がするけど。
そういえば、コバちゃんもしれっと冬田と付き合ってたし!コバちゃんはバト部だっけ…?
リョータのバカは、智美といつもバカップルしてるし、壮馬もxxちゃんと付き合ってるみたいな話が多い。
でも…、私が一番仲がいい男子ってのは、リョータだったのかも知れない。
いつからだろう、小学校は別だったし、1年生の時もクラスが違ったし。
2年生になって、最初の方から何となく目立つ男子だった気がする。
これっていう特徴がある男子じゃないのに不思議なやつ。
勘がいいっていうか、空気を読むというか、なんとなく人がして欲しいことをに気が付く、痒い所に手が届くって感じかな。
頭もいいし。それなのに少し陰がある感じもして…。前ほどは大人っぽさを感じなくなったけど。
アイツが一番、私の彼氏に近かったのかも。
告ってこないし、いつも智美とバカップルだったし。腹立ってきた!
もし…、仲いいっぽい女子が居なかったのだとしたら…、私が告っても良かったかも。
今だから言えるけど…。
いいなぁ。彼氏…。
どこに居るのかな私の彼氏…。どこかに落ちていないかなぁ。
そして…、拓君とはちょくちょく連絡は取りあうけども、やっぱり彼氏になってほしいって感じではない。良い人なんだけど、良い人どまりって感じがする。本人に言ったら引き籠りそうだから絶対言わないけど。(笑)
そういえば、奏は他人の恋バナは好きみたいだけど、奏のことになるとスッとかわされる。超かわいいのに。
いっそ、奏は私のところにお嫁さんに来ないかな。
いつだっただろう。小学校の時かも知れない。
私は、xx君と仲良く話してただの、調子に乗ってるだの、クラスの女子からハブられてる時期があった。
私は気にすることなく、男子と話すようにしたら、それがかえって女子の反感を買ってたみたいだけど。
いつものように一人で帰ろうとしたら、ものすごく…、悲しい顔をしていた女子に目がいった。
それが奏との出会いだった。
「大丈夫?」
思えば…、女子に私から話しかけたのって、すごく久しぶりだった気がする。
それ以来、奏と少しずつ話すようになった。
何気ない会話。
それから、気が付くと…、周りに色々な友達が集まるようになって行った。
最初のきっかけ。
けど、あの日がなんだったのかは、…ついに聞けなかった。
私のカンが言った。まだ、…踏み込んじゃいけない気がする。
中学校3年間、変わったこと、変わらなかったこと、たくさんの事があった。
全てはもうすぐ思い出というやつに、変わってしまうのかも知れない。
だけど、私はやっぱり、笑顔の奏が好きだ。
もし、彼女を苦しめる何かがあるのなら…、力になれる何かがあるのなら…。そう思うくらいには濃い友情があるつもりだ。
GW明けに同窓会じみたことをやるって言ってたからか、少し変なことを思い出してしまった…。
さて、掃除はこの辺にしておこうかな…。
私は最後のあがきをするために、机に向かうのだった。




