大塚くんと入学式前
4月、入学式。
大半の新入生はこれから始まる学生生活に期待で胸を膨らませているのではなかろうか。
新しい出逢い、新しい環境、新しい目標など、人生においてとても大きなターニングポイントである。
しかしながら、その大半になれなかった俺。
その原因の解は大塚家の玄関の先で待っている。
「おはよう!かいくん!」
玄関の扉を開けるとそこには、ショートボブで笑顔が良く似合う幼馴染の姿があった。
神崎明楓、家が近く小学校からの仲である。
天使のような笑顔であるが、俺にとっては悪魔のようにしか映らない。
「どちら様でしたか?」
真顔で即答する。
「もう!ひどいなぁ」
笑って返す彼女。
一見すると、仲睦まじい幼馴染間のやりとりに見えるだろう。
しかし、今はそんな間柄ではないと俺は思っている。
そう……あの日を境に。
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中学2年生の俺は、幼馴染である神崎明楓が大好きだった。
よくあるラブコメの鈍感系主人公の様に友達として好きではなく、1人の女の子として好きだった。
もちろん、もっと前から好きという気持ちはあったが幼馴染という関係から恋人になりたいと強く思い始めたのが中学2年であった。
明楓も俺のことが好きで、そのうち彼氏彼女になると根拠も無いのに疑いもしなかった。
そんな俺の気持ちとは裏腹にあの日がやってきた。
あの日も玄関の扉を開けると明楓の姿があった。




