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エピソード2 ~うちゅ友③~

ほんのちょっとだけシリアス回です。

「その体は、二日前に亡くなった私の親友なのです……」


 ……え? 亡くなった?


「それって、死んじゃったっていうこと?」


「はい。ユイタソという名前で、私と一緒にヴェーゼの研究員見習いをしていました」


 そっか、それはビックリするはずだわ。

 だって死んだはずの親友がいきなり起きて、しかもお腹鳴らしてるって。

 ヤバい、思い出したらまた恥ずかしくなってきた……


「ソーラさんが拉致(アブダクション)される少し前に、心身分離術式のテストを行うことになりました。その時に、見習いだったユイタソが実験台にされたのです。ですが実験は失敗して……」


 実験? ユイタソちゃんを使って?

 つまり、人体実験をしたってこと?


「ユイタソの遺体は私が預かっていたのです。家族の元へと帰してあげたくて、亡くなった状態のまま保存していました。そこに、心身分離で肉体から離されたソーラさんの精神が流れてきて、空っぽだったユイタソの体に宿ったのだと思います」


 は?

 いやいや……

 何言ってんのこの子?


「ゴメン、まったく意味分かんないだけど……」


「そうですよね……勝手に拉致(アブダクション)されて、エイリアンになってしまって、お怒りだとは思いますが──」


「違う! そうじゃないでしょ!!」


「ひゃひっ!?」


 あー、もう無理!

 マジで信じられない。

 我慢の限界だわ。


「私のことを言ってんじゃないの! 実験台にされたって? それって友達が実験で殺されたってことでしょ? なのに何でそんなに平気な顔してるのよ? 悲しくないの? 悔しくないの?」


「でも、私はただの見習いだから……」


「そんなこと今は関係ないでしょ! ユイタソって子、親友だったんじゃないの!?」


 何なの? 宇宙人って感情が無いの?

 人体実験で親友が死んだって? それなのに淡々と話して。

 イライラしすぎて手が震えてきた。

 いくら宇宙の技術が進んでようが、喜怒哀楽のある地球人の方が百億倍マシよ!


「──ですか──」


「ん?」


「悲しくないわけないじゃないですか!  悔しくないわけないじゃないですか!! 子供の頃から親友だったんですよ、一緒に立派な研究員になろうって約束もしてたんです! 離れた場所で働くことになっても、お互いに家族を持っても、ずっと親友でいようねって約束してたんです!!」


 ……


「本当は……本当は私が実験台になるはずだったんです。でも私怖くて、そんな私を見てユイタソは自分から実験台を引き受けてくれたんですよ」


 ……


「優しくて、頼りになって、いつも助けてくれるんです! あの時私が怖がったりしなければ。うぅ……ユイタソは死ぬこともなかったんです」


 ……


「ずっと一緒だと思ってました。それなのに、ぐすっ……こんなところで死んじゃうなんて……ユイタソ……」


「……何だ、ちゃんと感情あるんじゃない」


 宇宙人と地球人、見た目は違うけど心は同じ。

 大切な誰かを失ったら悲しいし、悔しい。こうして涙だって流す。

 そこに違いなんか全然なかった。


 よし、決めた!


「あなた、名前は?」


「……チコタンです」


「チコタン、いい名前だね」


 ……カワイイ名前。

 うん、それは一旦置いておこう。


「チコタンは、ヴェーゼとかいう連中に大切な親友を殺された。そして私は、大切な体を奪われた」


「はい……でもヴェーゼは宇宙を統一している巨大組織です。私達ではどうすることもできません……」


「宇宙を統一? そんな小さいこと気にしないの!」


 ヴェーゼだか何だか知らないけどね、人の大切なものを平気で奪うやつはゴミ以下よ!

 巨大組織? ああそうですか、それが何か?


「そんなクソ連中、私がぶっ飛ばしてやるわよ!!」

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!


面白いと思っていただけた方は、最新話からpt評価と、よければブックマークしてくれると異常に喜びます。


それではまた次話で、引き続き応援よろしくお願いします!!

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