94.まさかの場所でした。
次の日瘴気が濃くなっている場所付近まで行って驚愕した。見上げで左右に顔を動かした。目の前に広がる大きなお屋敷。お城とまではいわないけど、中世ヨーロッパの貴族が住んでそうな大きなお屋敷。入り口から玄関まで遠いし門番までいる。
「お嬢さん、何か御用かな?」
門番の男性に声を掛けられ焦った。
「昨日この国に旅行できたばかりで、お散歩してたらここに辿り着いたんです。 とっても大きなお家ですね」
「ここはポロック伯爵家だよ。 この辺りは観光する場所はないから街へ戻った方がいい」
「そうなんですね。 教えていただきありがとうございます」
ペコっと頭を下げて踵を返した。
”「どうする? まさか貴族のお家だったなんて……」”
”「今は強行突破は無理そうだ。 作戦を練る必要があるな」”
……今はって言った?できれば強行突破は遠慮したい。
歩いてくるには少し遠くて時間かかったのに、まさか貴族の家なんて…どうしたらいいんだろう。朝も昼も夜も警備されてるはずだからこっそり忍び込むのも難しいはず。
とりあえず街に戻って屋台で食べ物を買った。
「美味しい!」
この国は海産物が有名で港近くの屋台には魚介類を使った食べ物がいろいろ売っている。私は魚介のクリームスープにパンを買った。パンは少し硬いけど、スープにつけて食べるといい感じに柔らかくなって美味しい。
”「凪はどう?」”
”「美味い」”
”「凪の口にも合ったみたいで良かった」”
気のベンチに座って足元では凪が焼き魚を食べてる。一匹だけだと足りないから、いろんな種類のお魚を食べている。
風が気持ちい。食事も美味しい。凝った味付けじゃなくて家庭的な味がする。胸がホッと温まるような優しくて素材の味を活かした味。賑やかで活気のある国。旅行先にするなら最高な国だと思う。だけど私は純粋な旅行客じゃない。今のこの状況を目いっぱい楽しみたいけど、さっき発生した問題に頭を悩ませている。
スープを飲み干し、パンの最後のひとかけらを口に放り込んで味わいながら食べた。
「だ、大丈夫ですか!?」
目の前で女性がしゃがみ込んだので慌てて駆け寄った。
「すみません、少し立ち眩みがしただけなので大丈夫です」
「良かったらつかまってください」
「ありがとうございます」
女性は私の腕につかまり、お腹を抱えながら立ち上がった。すぐそばで見た女性の横顔は少し顔色が悪く見えた。ベンチに座らせた。
「少し待っててください」
凪に目配せをして私は屋台に向かった。




