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聖女の冒険  作者: 星野 奏


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95/118

93.心の中で泣きました。

流石は観光地。宿はどこもいっぱいで、聞けば年中宿は大盛況とのこと。



「だぁー……つっかれたぁ……」



部屋に入った途端ベッドにダイブ。

何とか見つけた大通り沿いの宿はビジネスホテルというよりはザ・高級ホテル。お値段も結構……いや、かなりいいお値段した。笑顔でお会計しながらも心の中は涙で大雨警報出てた。


ベッドに寝っ転がったまま、顔を横に向けると大きな窓から気持ちのいい光が差し込んでいた。ベッドは大きくて程よい弾力で寝心地抜群。そして窓も大きくて眺めもよさそう。優雅にティータイムを楽しめそうなテーブルもあるし、室内にある出入口とは違う扉の先には恐らくトイレとバスルームがあるんだろう。こんな高級ホテルでお風呂とトイレないってことはないよね?



「凪……冒険者ギルドで稼げそうな依頼受けよう」

「そう言うなんて珍しいな」

「だって! このホテルいくらだと思ってんの!? 目ん玉飛び出るかと思ったよ!!」



飛び起きた私と目が合った凪は少し驚いた顔をした。

金銭感覚がド庶民の私は贅沢することにも慣れてないし、貯金が減ることも落ち着かないし、生活費が稼ぎを上回ることもストレスだし……でもいい部屋にいるからか、正直気分は最高!お天気よくて賑わってるからかテンションがおかしなことになってる。


マップを広げて瘴気が濃い場所を確認した。今までにない場所に瘴気が発生している。



「ここってどう見ても森じゃないよね?」

「だな」



いつもは森とか洞窟とか自然の中に発生していた瘴気だけど、今回は街中に発生している。ロザンナが瘴気に侵された事を思い出す。



「明日、さっそく行ってみようと思うんだけどどうかな?」

「あぁ、そうしよう」



街中にあるってことはロザンナみたいになってしまう人が出てくるかもしれないってこと。普段優しい人でも瘴気に侵されてしまったらどう豹変するか分からない。ただ悲しくて泣くだけの人、辛くて命を絶ってしまう人、怒りや憎しみで人を襲ってしまう人……人は魔獣は警戒するけどきっと同じ人間だったら警戒しない。だからなるべく早く解決しないと……。



「この国は貿易が盛んな国なんだろう?」

「んー……みたいだね。 なんで?」

「瘴気に侵された何かが持ち込まれる可能性は高いだろう」

「なるほど! だから街中にあるのね。 っていうか、瘴気って生き物だけに作用するんじゃないの?」

「この国に入る前から瘴気の位置を確認しているが、移動せずにずっと同じ場所にとどまっている。 ということは物だろうな。 日本でもよく言われるだろう、人形に魂が宿るとな。 それと似たようなことだろう」



確かに可愛がって大切にしている人形には魂が宿るって聞いたことある。霊感なんて1ミリも持ってないからそういう霊的な話はよくわからないけど、この世界なら十分あり得そうだ。とりあえずゆっくり休んだら少し街を散策して食事をしよう。





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