77.探す人が増えました。
「ロザンナは出て行ってだいぶたつんですか?」
「2,3時間かな……たぶん」
まだ夕方だけどもし森にいるならそろそろまずい時間だ。日が落ちたら魔獣の動きが活発になる。ロザンナもそのことは知ってるはずだから森にいないとは思うけど、もしまたどこかで怪我をしていて身動きが取れなくなってたとしたら?それか街でストレス発散してるとか?私も嫌な事とかがあるとよく外で飲みながらドカ食いしたり爆買いしたりしていた。ロザンナが良くいくお店はわからないけど、嫌なことがあったら行くお店があるかもしれない。
「私街の中探してみます!」
「あたしも__」
「アビーさんはお家にいてください! ロザンナが帰ってくるかもしれないので!」
「分かった。 じゃああたしの代わりにロイを連れて行って! 人が多いから匂い追えるか分かんないけど、一番鼻が利くと思うから!」
そうだ!ロイがいるじゃん!
「ロイ!!!」
アビーさんがロイを呼ぶとすぐにかけ寄ってきた。
「ロイ、行こう」
ロイと凪と一緒に家を出た。凪もロザンナの匂いや気配を追えるだろうけど、匂いに関してはロイの方が感じやすいだろう。
”「ロザンナのそばにいればよかった……」”
泣いているような震える声が頭の中に響いた。私まで泣いてしまいそうな程悲しそうな声。
”「ロザンナは家族と喧嘩して飛び出すことは今までもあったの?」”
”「ううん、今回が初めてだよ。 いつもはアビーと喧嘩すると部屋に戻ってきて泣きながら僕をギュッとするんだ」”
家に居たくないほどひどい喧嘩をしたってことか……武器作りの事で喧嘩になったんだろうか……それとも付与魔法の話をしたのかな……原因ばっかり考えちゃうけど、今はロザンナを見つけることに集中しないと。このまま3人で一緒になって探してたら時間がかかる。
「手分けして探そう。 30分後に中央の公園に集合しよう」
”「分かった!」”
”「何かあればすぐに呼べ」”
こんな街中でも私のことを心配してくれる凪の言葉に心がほっこりした。思わず口元が緩む。
まだ夕方で街には人がたくさんいる。そんな中走りながらロザンナの名前を呼んだ。お店の中をのぞいたり露店の人たちにドルフさんの娘のロザンナを見かけなかったか聞いて回ったが、見かけたという人は一人もいなかった。私はロザンナを見つけられないまま公園に向かった。もしかしたら凪かロイが見つけてくれてるかもしれないという希望を胸にして。一番最初に公園に着いたのは私だった。続いて凪、ロイが公園に姿を現したが、隣にはロザンナの姿はなかった。かがんでシュンっとするロイを抱き上げた。
「ロザンナが帰ってるかもしれないから、いったんお家に帰ろう」
落ち込むロイをギュッと抱えたまま、ロザンナのお家に向かって足を進めた。家に帰りながらもロザンナがいないか周りをよく見ながら歩いた。ロイも私の腕の中で頑張って鼻をひくひくと動かしていた。
家に帰りつき裏口から入ると、そこにはアビーさんの姿はなかった。ダイニングにもいなかったので部屋に行ったが、見当たらない。まさか鍛冶場?こんな時に?と思ったが鍛冶場をのぞきに行った。そこにはドルフさんしかいなかった。ドルフさんは武器作りに集中していて、正直声をかけられるような雰囲気じゃないけど今はそんなこと言ってられない。




