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聖女の冒険  作者: 星野 奏


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76.ロザンナじゃなくてすみません。

ロザンナのお家にお世話になって数日が過ぎた。その間ギルドに行ったり、教会に行ったり、森に行ったりと充実した日々を過ごしている。でも宿が見つからない。宿の数は決して少ないわけじゃないのに、どこも埋まっている。ロザンナ曰く、もうすぐこの辺りは寒くなってくるようで森が雪で覆われて歩行困難になる前に冒険者たちが武器の修理や調達のため集まってくるそうだ。武器に限らずドワーフが作るものはどれも素晴らしいものが多いから、調理器具だったり農具だったりを買いに来る人もいるらしい。ロザンナ家族はこの国にいる間はうちに居ればいいと言ってくれるが、もうすぐ1週間経つし正直申し訳ない気持ちでいっぱいだ。宿代としていくらか渡そうとしたけど受け取ってもらえなかった。お仕事柄怪我をすることもありそうだし、怪我に効くポーション作ってお家出る時に渡そうかな。



「凪のおかげでお金は順調に稼げてるよ。 ありがとう」

「美桜が作ったポーションも生活費の足しになってるだろ」

「私が作ったポーションは下級のものメインで売ってるから、大した収入にはなってないよ。 主に凪が倒してくれた魔獣だったり魔石のおかげ」



今日は森で怪我のポーションを作るための薬草採取をしつつ、弓の練習はほどほどに結界の訓練を行った。マップのおかげで薬草はたくさん採取することができた。



「弓はまだ実戦で使える気がしないから、短剣を見つけてから浄化に行こうと思ってたけど、そんなことしてたら遅くなりそうだから近々浄化行こうと思ってるんだけど、どうかな?」

「俺は美桜のタイミングに任せる」



気になる鍛冶屋があれば入ってみるといいとアビーさんに言われて、いろいろ入ってみたけどしっくりくるものはなかった。手になじまないというかなんというか……既製品じゃなく、一から作ってもらった方がいいのかな?運よくミスリル鉱石持ってるし。しかも品質はロザンナのお墨付きだ。ただ一から作ってもらうとなると高額になるだろう。でも命を守るためと思ったらケチってる場合じゃない。


武器も私の戦闘力も不十分だけど、これ以上浄化を遅れさせられない。何故なら赤い印が少しずつ大きくなっているから。今は森の奥にとどまってるけど、このままだとどこまで範囲が広がるか分からない。それにその瘴気の元のせいで狂暴になった魔物が人々を襲い始めるかもしれない。今アーチザン王国には冒険者が集まっているって言ってたから、何かあれば対応できる人は多いだろうけどそれで被害がゼロになるわけじゃない。


後は私の気持ちを整えるだけ……まだ何も考えずに浄化に向かえるほど強くない。どうしても気合いが必要だ。ここまで慎重になったのはナスルでの出来事がきっかけだと思う。あの出来事は私には必要な過程だったんだと時間が経てば経つほど納得できるようになった。というか、本当に心の整理がついたんだと思う。



「そろそろ戻ろっか」



街に戻ってきた頃には日が傾いていた。予定より帰るの遅くなっちゃったな。



「ロザンナッ!!!! あ、ごめん……ミオ、お帰り」



お店は閉まっていたので裏口から入ると、凄い形相のアビーさんが顔を出した。



「ただいまです……ロザンナまだ帰ってないんですか?」

「それが……喧嘩して飛び出してっちゃって……」



アビーさんは前髪をぐしゃっとして俯き顔をしかめた。普段よりも激しい喧嘩だったのかもしれない。後悔しているのが伝わってくる。






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