73.恥ずかしいです。
結界の練習は最悪部屋の中でもできるので、弓の練習からすることになった。が、問題発生。矢が……飛ばない……。
「なんで!?」
「……俺にも分からん」
私はその場に崩れ落ちた。
そりゃそうよね……凪武器は使わないもんね。わかるわけないよね。
高校の時弓道部があったから何度かやってるところ見たことがあるし、テレビでオリンピックの競技でアーチェリー見たことあるから勝手にやれるだろうと思ってたけど、それが甘かった。簡単そうに見えただけで全然そんなことなかった。弓を引く手が震えて的が定まらない上に矢が思うように飛ばない。初心者が初っ端矢を使うなんて烏滸がましいのかもしれない。ということでへこたれず、まずは弓だけで引く練習をしよう。
「んっ__ッッ!!!」
思い切り息を吸ったら息を止めて弓を引いた。でもちゃんと引けてるのか分からない。引き足りないのか、引けてるのか……。
「体に力が入りすぎている」
「っ、はっ__ゲホッッ!?」
止めてた息がいっきに体の中に入ってきてむせた。むせて涙が出てくるし、鼻水が……垂れないように必死に啜った。
誰!?
「驚かせてすまない」
あれ?この声……涙を拭って彼をみた。フードかぶってるけどこの声はあの時の人だよね?
「ドルフさんのお店にいらっしゃってた……」
「あぁ、名乗らず申し訳ない。 ジェドだ」
「私はミオです。 先日はありがとうございました」
「どうして君がお礼を言うんだ?」
「友達のお店なんです。 だから大事にならずに騒ぎがおさまって良かったなって思うので、私からもお礼を言いたかったんです」
「そうか」
ジェドさんの声っていい感じに低くて安定感?なのか、落ち着いて聞こえる。フードのせいで顔はよく見えないけど、かっこよさそうな声をしてる。ダメだ……声の印象が良すぎて私の頭の中にもの凄いイケメンが誕生してしまっている。声だけじゃなくて行動も紳士的で評価爆上がりだ。背も見上げるくらい高いので、180cmは超えているだろう。
「弓の練習は始めたばかりかい?」
「あ、そうなんです。 今日初めての練習なんですけど、やり方よくわかってなかったなと……」
言いながら恥ずかしくなってきた。誰もいないと思ってたし酷い顔してたと思う。どうしよう顔どころか首まで熱くなってきた。
「もし嫌ではなければ教えようか」
「え!? いいんですか!?」
ほぼ初対面なんだからここは「申し訳ないです」とか遠慮するところなんだろうけど、そんな余裕もないくらい切羽詰まってる。このタイミングを逃したら誰に教えてもらえばいいのか分からないし、教えてくれる人が見つかるかもわからない。




