72.狼吸いです。
次の日冒険者ギルドに寄ってから森へ向かった。薬草採取するならついでに冒険者ギルドの依頼を受けておこうと思ったから。もちろん魔獣討伐じゃなくて、薬草採取の依頼。凪も魔獣退治がしたいというタイプではないのでありがたい。凪が血の気が多い性格だったら私振り回されて大変だったかもしれない。
「先に依頼の薬草採っちゃおう」
「魔獣の気配にも気を配るのを忘れるなよ」
「はい!」
凪がいるからといって完全に凪にお任せじゃなく、自分で自分の身の安全を守るために気配探知を怠らないようにしようという話しになった。魔獣が現れた時は凪が戦ってくれるんだけど、私も弓の練習をしてある程度形になったら魔獣で戦う練習もしないといけないだろう。そのあたり凪はきっと容赦ない。
今は私たち以外誰もいないので、マップで薬草の場所を探した。やっぱりマップは便利で依頼の薬草はすぐに見つかり、無事に採取することができた。次はポーションを作るための薬草採取。瘴気の元を浄化する際何があるか分からないから、ポーションは多めに持っておきたい。
「ちょっと休憩しようか」
「必要な分は採取できたのか?」
「うん、とりあえずこれだけあれば大丈夫だと思う。 アーチザン王国に来るまでに採取したものもあるからね」
「では休憩後は結界と弓の特訓だ」
ですよね……。
「はい、頑張ります」
凪は特訓に関しては妥協は一切許さない。口調がきついとか熱血とかではないんだけど、厳しいというか……まぁ、私の為なんだろうと思えるくらいの愛情は感じるから頑張れるんだけどね。
マップで休憩できそうなところを探し、そこまでは凪の背に乗らずに歩いて向かった。地べたに座り、バッグから朝ロザンナのお家の台所を借りて作ったお弁当を出した。前より料理をするようになったけど劇的に料理が上手になったかと言われれば全くだ。でも少しずつ効率は良くなっているのか、台所に立つ時間は短くなったと思う。
周りの気配と本当に人がいないか確認してマップを出した。
「赤い印ずっと同じ位置だから、今回は魔獣とかの瘴気が濃くなってるわけではないってことかな?」
「恐らくな」
「今回はどんなものが瘴気の元になってるんだろう……」
「怖いか?」
そんなの決まってる。
「そりゃ怖いよ。 前回の浄化の時の事全く忘れられないし、あのまずい薬も忘れられない……」
「薬に関してはオクタヴィアン様に解決してもらったのだろう。 浄化に関しては場数を踏むしかなかろう」
「そう、だよね……場数を踏むのも大事だけど、合間の特訓も大事よね。 この世界でちゃんと生きていくためにも本気で取り組むよ。 まだまだ凪に頼ることたくさんあるけど、よろしくね」
「美桜の支えになる為に俺がいる」
がばっと寝そべって凪の首に抱き着いた。
「そんなことをする暇あるならさっさと練習しろ」
「する! するけど5分だけ待って!!」
凪のふさふさな首元に顔を埋めてすりすりした。そして猫吸いならぬ狼吸いを堪能した。




