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聖女の冒険  作者: 星野 奏


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72/118

71.タイミングです。

「心配しなくても大丈夫だよ」とか「なんとかなるよ」とは軽々しく口にできなかった。それは優しさじゃないと思うから。言葉には責任が伴う。でもそんな私が今ロザンナにかけられる言葉は一つだけ。



「私はロザンナの見方だよ。 応援する!」



落ち着かないロザンナの手を両手でギュッと握った。



「ありがとう」



ロザンナは笑って私の手を握り返した。ロザンナの悩みに対して私が力になれることは限りなくないに等しいと思う。それでも一人じゃないってことは知っててもらえたら嬉しいと思った。弱音を吐ける相手が一人でもいるんだよってこと、知っててほしかった。



「ごめん、そういえば、私に何か用事だったよね?」

「あ、そうだった! 明日薬草採取に行こうと思ってるんだけど、何か採ってきてほしい物とかあるかな?って思って!」

「わざわざ聞きに来てくれたの? ありがとう! でも一緒に森を通った時にたくさん持って帰ってこれたから大丈夫!」

「それなら良かった。 そういえばアビーさんへのプレゼント以外にも自分用の鉱石持って帰ってたけど、付与魔法の練習のために自分で鉱石採って武器を作ってるの?」

「うん。 だからお姉ちゃんたちは私がムキになって武器作りしてると思ってるんだ。 目的は付与魔法の練習なんだけど、その話もできないから言い返すこともできなくてさ……武器を作っても怒られるし、付与魔法の事を話しても怒られそうだし……言わない私も悪いんだけど、それでもやっぱりわーわー言われると私だって腹が立つわけで……」



ロザンナの気持ちがよくわかる。話すタイミングって大事だから、タイミング見計らってるとなかなか言えない。けど、その間周りにいる人からなんやかんや言われるとむかつくんだよね。どっちが悪いってわけじゃないんだけど……それがまたストレス。



「黙ってて家族の仲が悪くなるならいっそ言っちゃったほうがいい時もあるよ? 言った方がいいってことじゃなくて、そういう選択肢もあるよってことだからね?」

「そうだよね……うん、頭に入れとく。 ミオに出会えて良かった。 こうしてちゃんと話しができてスッキリしたし頭の中整理できた気がする」

「私でよければいつでも話し聞くからね」



タイミングなんて気にせず言いたいこと言った方がいいっていう人もいるけど、性格によるよね。そういう性格の人を羨ましくも思うけど、たぶん私とロザンナはそういうタイプじゃない。考えすぎてなかなか自分の考えを言えないタイプ。そんな私に対して家族はいつも呆れたような、苛ついたような顔してたっけな。性格が合わないものはしょうがない……と考えるようになってそれは逃げ癖のようになってしまったけど、ロザンナを見ているともっと相手と向き合える自分になりたいなって思った。   





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