70.難しい問題です。
あれ?
「ロザンナって無属性だよね? 無属性はどんな付与ができるの?」
火属性とか風属性とかはなんとなくイメージできるけど、無属性は全くイメージがわかない。
「無属性も意外といろいろできるんだよ? その中でも私が今頑張って付与しようとしてるのは強化だよ」
「強化? 武器を強くしたいってこと?」
「うん、そう」
「凄く良い事じゃない! なのになんでドルフさんたちに話さないの?」
良い事だと思ったのに、何故かロザンナは困ったように伏し目がちに微笑んだ。
「お父さんもお姉ちゃんも自分たちの作る武器に誇りを持ってる。 そんな武器に付与魔法なんて……邪道だって思われるんじゃないかって思うと怖くて言えないんだ」
どんなに頑張っても今まで上手くできなくて、きっとロザンナはたくさん挫折を味わってきたんだろう。今も自分に何かできないか試行錯誤して、自分にできる精一杯のことをやっていて、うまくやれることを見つけたけど受け入れてもらえるか分からなくて……怖くてしょうがないんだ。受け入れてもらえないことも怖いけど、自分の心が壊れてしまうかもしれないかもしれないことも怖いのかもしれない。
私は心が壊れる前に逃げ出した。その時逃げ出したことを後悔していない。でもそれは家族仲が良くなかったからだと思う。ドルフさんもアビーさんもロザンナの事大切に思ってる。ロザンナも家族に愛されてることちゃんと分かってる。そんなロザンナは逃げ出せばそれこそ後悔の念に襲われて、心が壊れてしまうかもしれない。
「じゃあどうして強化の付与魔法を頑張ってるの?」
「武器作りに関しては二人の足元にも及ばない。 だから私は強化を付与して付加価値をつけて提供できればなって思ってるの。 お姉ちゃんが作った武器に強化の付与魔法つけて、二人でお父さんの大切にしてる鍛冶屋を盛り上げて行けたらいいな……とも思ってる。 私の勝手な理想だけど……。 それに、実はお母さんも付与魔法が使えたの」
「え? そうなの?」
それならドルフさんもアビーさんもなんとか理解してくれそうだけど……。
「母は武器に付与をしていたんじゃなくて、自分の作った家具に強化の付与魔法をかけてたんだ。 少しでも長く使ってもらえるように、ってね」
それを聞いて思わずテーブルを撫でた。よく見ると傷一つない綺麗な状態だ。付与魔法ももちろんだけど、ロザンナが大切に扱ってるからだろうな。
「だから家具に付与するならまだしも、武器にってなると二人とも聞いてくれなさそう……でしょ?」
「…………」
簡単に「そんなことないよ」とは言えなかった。二人とも武器作りに誇りを持った職人だから確かに理解を得るのは難しそう。それに職人って自分の作った武器に他の人が手を加えるなんて嫌がりそうだから、アビーさんが作った武器に触れるなんて……そんなことしようものならはっ倒されそう。




