69.向き不向きがあります。
ロザンナの部屋の扉をノックすると、中から声がしたので声をかけると扉が開いた。
「どうぞ」
部屋に入ると、テーブルの上には短剣やらネックレスやら魔石やらと並んでいるというより少し散らかっても見えるくらい置かれていた。
「ごめん、忙しかった?」
「ううん、大丈夫だよ。 ちょうど休憩しようと思ってたんだ」
椅子に座って目の前の転がってる魔石やらアクセサリーを見ていたら「散らかっててごめんね」と言われた。
「じろじろ見てごめん! 何してたのかな?って思って」
「あー……えっと、ね__」
「あ、いや、言いたくないならいいの! ちょっと気になっただけだから!」
口ごもられて慌てて言葉を遮ってしまった。仲良くなったとはいえ、踏み込みすぎたかな?と……。
「言いたくないわけじゃないよ。 ただ誰にも言ったことないから、どう話したらいいのかなって思ったら言葉が出てこなかっただけ」
「誰にも? それなら余計聞けないよ……」
誰にもってことは家族にも話してないってことだよね?なんだか余計聞いたらまずかったんだじゃ……と思ってしまった。
「家族にはまだ話す勇気なくて、家族にバレるのが怖くて周りの人にも話ができなくて……本当は誰かに聞いてほしかったからミオがよければ聞いてほしいな」
「そういう事なら聞く! 私でよければ!」
「あはは、ありがとう」
ロザンナはテーブルの上の魔石を手に取ってぐっと握った。
「ミオは付与魔法って知ってる?」
「付与魔法? ごめん、よく知らない」
「お風呂温める魔石にも付与魔法が込められてるんだよ。 生活の中に付与魔法はたくさんとけ込んでる。 付与できる魔法は属性によって変わるの」
「へぇー、そうなんだ。 知らなかった」
付与魔法……とっても便利。この世界にはまだまだ知らないことだらけだ。ものによっては凄い高値で売買されそう。あれ?そしたら光魔法は珍しいって言ってたから、光魔法で付与したものは高値で買い取ってもらえるのでは?
「それって魔法が使える人なら誰でも付与できるの?」
「ううん、付与魔法は誰でも使えるわけじゃないよ。 細やかな魔力操作が必要になるから、向いてない人がやると付与しようとしたものが壊れちゃうの」
そりゃそうよね。私が戦えないみたいに人には向き不向きがある。だから勉強でも成績っていうものがあるわけだし。それでも一度は付与魔法ができないか挑戦はしてみようかな。もし上手くいけば瘴気をまとった魔獣に効果的な結界を付与することができるかもしれない。そしたら誰かの役に立てるかもしれない。




