07.ちょっと特殊な光属性らしいです。
まず最初にやっておいた方がいいのは、旅をしていて怪しまれない様に冒険者ギルド、もしくは商人ギルドに登録しておく事だそうだ。
冒険者になるつもりも、商売を始めるつもりも今のところ一切ない。だけどどちらか登録していれば身分証になるみたい。どうやら街に入るためにも持っていた方が便利らしい。
「冒険者ギルドでは依頼を受けて達成すればお金がもらえるし、討伐した魔獣を持っていけば買い取ってくれるよ」
「へぇー」
よく聞く設定だけど、まさか自分が経験する事になろうとは……。
とはいえ、私が魔獣を倒すなんて事は無理なので、買い取りに出す事はないだろう。そんな度胸も力もない。
「依頼って、薬草採取とかもあるんですかね?」
「よく分かったね。 冒険者ギルドの依頼には魔獣討伐は勿論のこと、護衛や薬草採取、調査など色んな仕事があるよ」
マジックバッグの中に薬草の本が入ってたからもしかしたらと思った。危ない仕事は無理そうだけど、そういう仕事なら本を見ながらできそう。
いくら1000万ルピ用意してくれてるとはいえ、いつどんな時にお金が必要になるか分からないから生活費は少しでも稼がないとね。
「商人ギルドでは作った商品や育てた食材を買い取ってもらえるよ。 冒険者ギルドの依頼とは別に採取した薬草なんかもここで引き取ってもらえるからね。 あと、回復や毒消し、麻痺消しなんかのポーションを買うことができるよ。 簡単に言えば、旅や冒険に必要な薬や道具を買えるってこと。 お店を開きたい時にも商人ギルドを通さなければいけないよ」
「お薬になるようなもの含め、商売になるような買い取りは商人ギルドってことですね。 あと救急箱の中身を買いたい場合も」
「そういうことだね。 どちらと言わず、両方登録していてもいいと思うよ」
確かに。
薬草で生計を立てようと思うならどっちも登録しておいた方が良さそう。
「聖女の力についても説明しておくね」
「それは説明してくれませんでしたっけ? 浄化……ですよね?」
「それは聖女の力の一部に過ぎないよ。 聖女の魔力属性は光なんだけど、普通の光属性とは少し違うんだ」
その属性だの光だのの普通すら分かってないけど、説明の途中で口を挟むのはやめておこう。余計訳わからなくなりそう。
「聖女は平和の象徴であり、汚れなき存在。 それ故に人や魔獣……命を奪う魔法を使えない」
「それじゃあその光の力?で何ができるんですか? 話を聞いた限りでは浄化以外もできるんですよね?」
「何者の侵入も許さない絶対防壁、そして汚れを浄化できるホーリーアローが使えるよ」
ホーリーアローって……きっと弓矢のことだよね?arrowってついてるぐらいだし……。
「あの……浄化って祈るだけみたいな事言ってませんでした?」
「勿論祈るだけで浄化できるよ。 けど、瘴気に侵された生き物もいるからね」
弓矢なんて使った事ないよ。あれ?そういえば弓矢もマジックバッグに入ってた様な……これは有無を言わさず練習しろって事か……。
攻撃系の魔法が使えないって事は、必要最低限の戦闘術は身につけておかないといけない。特別運動神経いいわけじゃないんだけど、戦闘術なんて身につくのかな?不安しかない。
何気にやる事たくさんで、既に心が折れそう。
「そんな顔しないで。 知らない世界で美桜を1人にはしないよ」