66.悪いことをしたら謝罪が必要です。
怒った男性の逞しい腕はドルフさんに届かなかった。フードを被った人がその男性の腕を掴んだからだ。いったいどこから?気づいたら目の前にいて、いったいどこから現れたの?とただただ驚くばかりだ。それに明らかに男性よりも細身なのにいったいどこに逞しい腕を止められる腕力があるんだろうか。それとも魔法?
「ドルフ殿、武器を取りに来た」
フードの人はどうやら男性だったようだ。その人が止めた腕を離すと、怒り狂った男性は次はフードの人を殴ろうとしたが、腕を上げたまま固まってしまった。そしてどんどん顔が青ざめていく。
え……実はフードの人の方がやばい人?
”「心配ない。 その男は大丈夫だ」”
私が不安そうな顔をしていたのか、凪が念話でそう言った。凪が言うならそうなんだろうと思い、少し心が落ち着いた。
あれだけ迷惑に騒いだ男は謝罪の一言もなく、青ざめた顔のままさっさとお店を出て行った。尻尾を巻いて逃げるってああいうことを言うんだろうな。というか、最後まで最悪な人だったわ。
「余計なお世話だっただろうか」
「いや、助かった。 ありがとよ。 アビー」
「あいよ!」
アビーさんは元気に返事をするとお店の奥に姿を消した。フードの男性は名前も名乗っていないし、ドルフさんはなんの武器かも言ってない。それなのにアビーさんは迷いなく武器を取りに行った。お客さんの名前なんてきかなくても全員の依頼把握してるとしたら凄すぎる。私は顔を覚えるのは得意だけど、どうしてもちょっとした知り合いとかだと名前が覚えられない。
「さっきはありがとうございました」
転んでしまった男性にお礼を言われた。
「いえ! 災難でしたね。 それにお礼ならこの方に言った方が__っ!?」
フードの男性の方を見たらものすごく見られていて驚いた。私の顔に何か……?頬に触れてみたけど、そんなのわかるわけなかった。絡まれてしまった男性は丁寧に頭を下げフードの男性にお礼を言うと、ドルフさんにも「よろしくお願いします」と頭を下げお店を出て行った。
「ミオ、もう用事は済んだのか?」
「はい! 行きたいと思ってたところには行けたので、今日はもうゆっくりしようかと思って帰ってきました」
「そうか、それなら夕飯までゆっくりするといい」
「ありがとうございます。 もしお手伝いできることがあれば声かけてください」
ドルフさんに軽く頭を下げ、なんとなくフードの男性にも頭を下げた。するとフードの男性も会釈し返してくれた。そんなちょっとしたことでこの人は悪い人じゃないかも、と思ってしまう自分は本当に単純だなと内心笑ってしまった。




