65.堂々としていてカッコイイです。
昼食後商業ギルドに行って無事にポーションも売れた。忠告してもらった通り上級ポーションは売らなかった。何かあった時のためにバッグにしまっておくことにした。早く自分自身が強くならないと自由にポーションを売ることもできない。ものすごく強くはなれないだろうから、せめて防御……。
「うわ……何ごと……?」
ロザンナのお店に入ると、人で溢れかえっていた。
「ふざけてんのか!?」
突然の男性の怒鳴り声に心臓と一緒に肩が飛び跳ねた。凪が私の一歩前を陣取る。
「その耳は飾りか。 お前の武器は作らないといったんだ」
張り詰めた空気の中、穏やかだけど芯の通ったドルフさんの声が聞こえた。怒り狂った声を出した男性はガタイが良く大柄なのでその人の体が邪魔をしてドルフさんの姿は見えないが、きっとドルフさんは毅然とした態度をとっているだろう。
「俺はBランク冒険者だぞ!!!!! こんな奴の武器を作る暇があるなら俺の武器を作るべきだろうが!!!!!」
怒っている冒険者は隣の少し頼りなさそうな男の子の胸ぐらを掴むと乱暴に手を離した。その拍子に男性は尻もちをついてしまった。
「だ、大丈夫ですか!?」
慌てて転んでしまった男性に駆け寄って手を差し伸べた。男性は申し訳なさそうに笑いながら「すみません」と言って私の手を取り立ち上がった。怒鳴り散らしている男性からはぎろっと睨まれたが、知らんぷりした。私別に悪いことしてないし!
「ランクなんぞどうでもいい」
「あぁ!? くそみてぇなランクの奴にいい武器渡してなんになんだよ!!! いい武器使おうが雑魚は雑魚だろ!!!!」
少し気弱そうなこの男性はどうやら低ランク冒険者のようだ。くそみたいなランクって……私まで喧嘩売られている気分になる。感じ悪い人。人を見下して横柄な人って本当嫌い。会社にもいたっけ、こんな人。こういう人に限って何かトラブルあると人のせいにするんだよね。隣にいる男性と目が合い思わずお互い苦笑い。
「お前さんにわしの作る武器はもったいない。 お前さんこそ伝説級の武器を使おうが何を使おうが使いこなせるとは思えんがな」
目の前で激怒りしている、しかも自分自身よりはるかにガタイのいい男性に向かってここまで堂々と自分の言葉を伝えられるなんて、すごくかっこいいと思った。自分がドルフさんの立場になった時、こんなに堂々と意見を言えるだろうか。いや、きっと今の私は言えない。怖くて言葉よりも先に涙が出ちゃうかもしれない。
ちらりと男性の横顔を覗き見ると、怒りのあまりこめかみに青筋を立て、目も吊り上げ顔も真っ赤だ。あれはちょっとまずいんじゃ……そう思っていると案の定男性は太い腕を振り上げた。




