63.道のりは長いです。
次の日ロザンナ家族は昨日のあの気まずい雰囲気なんてなかったかのように普通だった。まぁ、家族ってそういう感じだった気もする。
今日はロザンナに教会の場所を聞いて朝食を食べた後さっそくやってきた。さすがはドワーフの国の建造物と思うほど立派な教会だった。派手さはないけど、細部まで拘りを感じる真っ白な外観。屋根や尖塔に使われているチャコールグレーの色もシックな雰囲気を演出している。中に入ると窓越しに太陽の光に照らされたドワーフの神様の像が出迎えてくれた。並べられた木の長椅子にはまばらに人が座っている。誰も座っていない椅子に座り、凪はその足元に座った。胸の前で手を組み、目を瞑った。
「やあ! 久しぶりだね」
「はい、ご無沙汰してます。 オクタヴィアンさん。 お元気でしたか?」
「あはは、元気だったかどうか聞かれることなんてないから新鮮だよ。 うん、元気だったよ。 美桜も元気だったかい?」
「はい! 元気です」
「そう、よかった。 それに凪も楽しく過ごしているようで安心したよ」
オクタヴィアンさんに視線を向けられると、凪は姿勢を正した。
案内され椅子に座ると、リクエストしたアイスティーが目の前に現れた。氷も入っているし、ストローもさ刺さってる。そしてご丁寧にその横にはミルク、シロップ、カットレモンが置かれている。せっかくなのでミルクだけ入れた。
「困ってることはない?」
「んー……特に思いつかないのでなさそうです。 凪がいてくれるので困ることって殆どないんです」
「そう、仲良くしてるならなにより」
「私は仲良くしたいんですけど、抱き着こうとすると嫌がるんですよー」
「あはは、嫌がってるふりをしてるだけできっと嫌じゃないよ」
「オクタヴィアン様、適当なことを仰らないでください」
解せぬ……とでも言いたげな目をする凪。そんな凪の表情も今では可愛いとさえ思う。オクタヴィアンさんは嬉しそうに笑ってる。凪を見る眼差しはまるで父親の様だ。
「あ、そうだ! あの、武器のことで質問なんですけど、武器に神聖力をまとわせることってできるんですか?」
「勿論、訓練すればそれも可能だよ。 ただ、神聖力を具現化して作った武器の方が浄化力が高いから、目的が浄化なのであれば武器を使うのはお勧めできないかな」
「じゃあ瘴気に侵されている魔物と戦うなら武器に神聖力をまとわせたほうが攻撃力は上がるってことですか?」
「瘴気で肉体が強化されているから神聖力をまとわせるのは有効だね!」
武器に神聖力をまとわせる練習もしないといけないし、武器の使い方も練習しないといけないし、それと合わせて引き続き結界を張る練習もしないといけないし……練習地獄。私自身がまともに戦えるようになるまでの道のりが長い事を改めて実感し、思わずため息が漏れる。




