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聖女の冒険  作者: 雨宮 未亜
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06.魔力量とはなんでしょう。

「異世界人は知らない世界で新たな人生を歩む特典として、魔力量が多いんだ。 何故かというと、万が一襲われたとしても身を守るだけの魔法を使えるようにする為だよ」


「ってことは、私もその魔力量っていうのが普通の人より多いんですか?」


「聖女だから、もう一人の子よりも魔力量は多いよ。 そしてこの世界では魔力量の多い者ほど長生きするようになっている」



 話を聞けば聞くほど疑問が増えていく。



「寿命ってどのくらいからどのくらいまでなんですか!?」


「魔力が全くない者もいるからね。 そういう人は平均60歳くらいだろうか……」



 そう言いながらオクタヴィアンさんは顎に手を置いた。


 魔力が全くない人って、つまりは元々の私みたいな人ってことだよね?平均寿命60歳って……短過ぎじゃない?



「魔力が多い者だと1000年は生きるんじゃないかな。 この世界の者は殆どが魔力持ちで、その上魔力量はピンキリだからね……魔力持ちの平均寿命は500歳ってところだろうか……」



 「んー……」と言いながら首を傾げられた。


 人が長くて1000年生きるって……ありえない。魔力が多い人はって事は……そんな……違うよね……。


 カップの取手を握る手が震える。



「わ、私は? 私は……何年生きるんですか?」


「美桜は1000年、もしかしたらまだ長生きするかも__」


「冗談でしょ!? 私はそんなに生きたくない!! どうにかできないんですか!?」



 100歳生きるところだって想像できないのにその10倍…それ以上生きるかもしれないんでしょ!?



「そんなに生きたって悲しいだけじゃない……」


「何故? 長く生きたいと望む者の方が多いのに?」


「だって……友達ができたって、結婚して旦那や子供ができたって、私は見送ってばかりって事でしょ? そんなの…辛過ぎる……」



 目頭が熱くなる。オクタヴィアンさんの顔が滲む。唇を紡ぎ泣いてしまわないようにグッと我慢した。



「確かに友達や子供は見送る立場になってしまうかもしれない。 けれど、伴侶は違う」


「え……?」


「伴侶となる相手とは血の契約を交わすのがこの世界の掟となっている。 その契約を交わした者同士の寿命は同じとなるんだよ。 長い方の寿命に合わせるから、美桜が誰かと血の契約を交わせば、相手の寿命は美桜と同じになる。 基本的には死を迎える時は2人一緒だよ」



 なにその決まり……。



「なんかもう…出鱈目すぎるんですけど……」


「出来る事なら聖女である美桜には長く生きてもらいたい。 けどその事で美桜が苦痛を感じるのなら、寿命を短くしてあげることもできる」


「ほ、本当に?」


「本当なら神である僕が人の寿命に直接関わる事は許されない。 けど、今回に関しては美桜に無理をたくさんお願いしているからね。 それが罪滅ぼしとなるのなら聞き入れよう。 ただ寿命に関してはもう少し考えてみてくれない? 一度縮めてしまった寿命は変えられない。 例えその後に自分よりも寿命の長い者と血の契約を交わしたとしても、僕が一度手を加えてしまえば美桜はその伴侶と同じ時を過ごす事は叶わないだろうから」



 もし寿命を500年に変えてもらって、その後に結婚したい相手が600年生きる人だったとしても、私は500年しか生きられない…そういうことだよね……。


 だとしたらもう少し落ち着いて考えられるようになって決断しよう。



「……動揺しちゃってすみません。 また改めてお話しさせてください」


「勿論だよ」



 ぬるくなったコーヒーを一口飲んだ。


 なんだかどっと疲れた。砂糖も入れておけばよかった。



「それで……目的の場所じゃないところに来ちゃった私はこれからどうしたらいいんですか?」


「どこの誰が妨害したかハッキリ分かっていない上に、理由も分かっていない。 だから聖女だとバレないように動いてほしいんだ」


「私も髪の毛と目の色を変えてもらった方がいいですか?」


「矛盾してるかもしれないけど、いざという時には聖女だとみてわかる方がいい場合もあるから、大変だろうけど変装でどうにか誤魔化してくれないかな」


「分かりました。 取り敢えずは支給してくれてる変装道具で誤魔化します」



 ウィッグを上手くつける練習しないと。使ったことがないから、コツを掴むまでは装着するのに時間がかかるかもしれない。外れないような工夫も考えないといけない。



「あの、ウィッグが外れにくいようにカチューシャも支給してもらえませんか? シンプルなものでいいので」


「分かったよ。 そうだ、僕にメッセージを送れる機能もつけておくよ」


「メッセージ?」


「教会に来てもらわないとこうして話はできないけど、新しく必要なものがある時はメッセージを送ってくれればマジックバッグに入れるようにするよ。 無理なものもあるかもしれないけどね」


「それは助かります」



 今はまだ混乱してるし、この世界のこともわかってないし、これからの生活のこともわからないから、時間が経つにつれて必要な物が明確になってくると思う。必要な物が出てくるたびに教会に行くのは面倒だから、メールみたいに気軽に送れる機能があるなら有り難い。



「これからの事についてもう少し話そうか」






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