56.腰が抜けました。
落ちてる魔石をちまちま拾っていると、ふと洞窟の更に奥が気になった。
何だろう?
気付けば凪が私を守るようにすぐそばで唸り声をあげている。凪の後ろで前のめりになりながら目を凝らした。
……え?え?
「ぃいあやああぁぁぁぁあぁぁぁぁ!!!!!!!」
洞窟内に図太いような高いような初めて聞く自分の声が反響する。
ズルズルと嫌な音を立てながら姿を現したのは蛇だった。それもすさまじく大きな蛇。アマゾンのドキュメンタリーとかでみるようなアナコンダなんて比じゃないくらい大きい。見上げるくらい大きい。コブラみたいな姿をしてる。
「ミオ! こっちに!!」
少し離れた場所でロザンナに呼ばれたけど……無理。腰が抜けた。後ろ手に着いた手が震えてる。力が入らない。
今まで大きい鳥だったり、犬だったり、いろいろ見てきたけど、蛇は無理。爬虫類は見慣れてなさ過ぎて普通サイズでもきっと怖い。それなのにこんな見上げるくらいの大きさなんて……。
「うわっっ!!」
洞窟内で突然突風が吹き砂が舞った。目を瞑って咄嗟に腕で目を覆った。砂埃のせいで呼吸がうまくできなくてむせてしまう。
”「もう目を開けて問題ない」”
目を開けると、蛇の魔獣のぶつ切りが至る所に転がっていた。スーパーでパックに入ったお肉を数えきれないくらい買ってたし鰻やアナゴだって普通に食べてたけど、こういうのは何度見ても慣れない。
”「回収しなくていいのか? 魔獣の肉や素材はギルドで売れるんだろ」”
”「あ……うん。 そうなんだけど……ちょっと待って、腰抜けてて……」”
”「この程度で腰を抜かしてどうする」”
”「って! 凪!! 洞窟内には大した魔獣いないって言ってなかった!?」”
”「大した事なかっただろ」”
思わず口が開いたけど、ぐっと堪えた。確かに凪からしたら大したことない相手だなと思ったからだ。一瞬で倒してたし……凪はどんな相手だったら苦戦するんだろう。苦戦してほしいわけじゃないんだけどさ。
「大丈夫?」
駆け寄ってきたロザンナに「大丈夫」と返事をして手を借りながら立ち上がった。
「ロザンナとロイも大丈夫? 怪我は?」
「私たちも大丈夫」
「そっか、よかった。 素材回収するからちょっと待っててもらえる?」
「分かった」
気合を入れて凪が倒した魔獣の素材回収を始めた。マジックバッグに収納する時は直接手で触らなくても手をかざすだけで収納できると知った時は、なんて便利な機能何だろうと驚いた。取り出すときも出したいものを想像して手をかざすと出てくる。
異世界すご……。




