55.情報仕入れてました。
どの森にも魔獣はいるらしく、歩いているとちょこちょこ出くわす。でも魔獣だからと言ってみんなが好戦的ではないらしい。私たちを見て逃げていく魔獣がほどんどだ。幸いなことに今回の目的の瘴気は移動するタイプではないらしく、瘴気に侵されている魔物にはほぼ出会ってない。瘴気に侵されている魔獣もほんの僅か程度だ。
「滝の横に洞窟のような穴が見える。 行ってみてもいいかな?」
ロザンナは私と凪を遠慮がちに見た。
洞窟にどんな魔物が潜んでいるか分からない。でも凪が戦えることを知ったロザンナは一緒にいってほしいんだろう。私のことをそんな凪の主人と思っているからか、私の様子も気になるようだ。
”「あの洞窟大丈夫かな?」”
”「魔物の気配はあるが、強い魔物はいなさそうだ」”
考えるふりをして凪にちゃんと安全確認をした。
「行ってみよう」
「いいの? ありがとう!」
「でも魔物がいるかもしれないから、ロザンナもロイも凪から離れないでね」
「分かった!」
”「分かったよ!」”
私のそばからではなく、凪のそばから離れないということがとても重要なポイントだ。情けないけどしょうがない。
ハニードッグは戦えないし、魔法も使えないらしい。でも嗅覚が凄いらしく、あの日人の匂いをたどったら私たちのいる家にたどり着いたとのこと。雨降ってたのに凄まじい嗅覚。
近くで見ると滝はそれなりの迫力があった。でも滝にしては小さいほうなのかな?穴に近づくにつれ水しぶきが顔や体に飛んでくる。地味に飛んでくる水を気にしてるのは私だけみたいだ。洞窟の中に入ると空気がひんやりしていた。学生時代に自然学習で行った鍾乳洞の事を思い出した。
岩の隙間にキラキラしたものを見つけた。
「ねぇ、これって鉱石?」
「そう! 鉱石!」
ロザンナは腰につけたバッグからタガネとハンマーを取り出すと、慣れた手つきで採掘作業を始めた。テレビとかで採掘してるところって見たことあるけど、実際に見るのは初めてで見てるだけで楽しかった。鉱石は岩に埋まってるものもあれば、草や花のように地面から生えているものもあった。
採掘に夢中になっている間、私は転がっている魔石を集めた。魔物退治して魔石がでたけど大したことないから捨て置いたのかな?
”「冒険者がここまで魔物退治にきたりしてるのかな?」”
”「どうだろうな。 魔物同士の縄張り争いだったり、気性が荒くて戦ったりで魔物が死に、魔石が転がってるという可能性もある」”
”「魔物が魔物を殺しても魔石って出るの!?」”
”「魔物は自然に死んでも魔石を残す。 と、ラウルが言っていた」”
いつの間にそんな情報を仕入れてたわけ?
”「長くこちらの世界に住むんだ。 損をしないように情報を知っておく必要があるだろう」”
”「そうだね。 ありがとう」”
凪の首に腕を回してギュッと抱きしめた。しっかり者で本当に頼りになる相棒だよ。私もちゃんとこの世界のことを知っていこう。




