53.目的地は同じです。
私たちの向かう先はドワーフの国、アーチザン王国。ロザンナも家に帰るなら一緒に行かないかと提案した。
「普段こんなに森の深いところにくることないから実は帰路が不安だったんです。 ありがとうございます」
「お礼を言わないといけないのは私の方だよ。 初めて行く場所だったから不安だったんだ。 ロザンナが一緒なら心強いよ!」
「アーチザン王国には武器を探しに?」
「あ、うん! そうなの!」
瘴気が濃くてとは言えず返答が少ししどろもどろになってしまったかもしれない。チラッと目が合った凪は呆れた顔……をしているように見えた。
しょうがないじゃん……嘘つくの苦手なんだから……。まぁ完全に嘘とも言えないけど。護身用に良さそうなナイフでもあれば買っておこうかなという気持ちはある。
「ところで、お姉さんのお祝いのプレゼントの素材は良さそうなもの見つかったの?」
「それがまだ見つかってなくて……」
「じゃあお家に帰るがてら一緒に探そう。 でも私はどういうものが武器の素材で使えるのか分からないから、探し方を教えてくれたら嬉しい」
「ありがとう! 私が知ってる限りの事を教えます!」
鉱石以外にもつなぎになる素材もあるとのことで色々教えてくれた。ロザンナは魔石もあれば採取したいらしいので、その辺は私でもすぐ見つけられそうだと思った。
昼食を食べたらここを出発しようということになった。
「あ!」
「え!?」
私が大きな声をだしたせいで、ロザンナを驚かせてしまった。
「ビックリさせてごめん。 そういえばなんだけど、救出した時の事とか覚えてる?」
凪が元の大きさに戻って救出してくれた。もしその時の凪の姿を覚えてるなら内緒にしてもらわないといけない。
「いいえ、何も覚えていないんです。 危険を顧みず助けてくださったのにすみません……」
「あ、あの、違うの! 覚えてなくて全然いいの! 身体怪我してたから、救出する時痛い思いさせちゃったんじゃないかって心配になって……」
何も覚えてなくてよかった。とりあえずロープを使って私が救出したことにした。ロープを体に括り付けてあんな高さの崖を降りるほどの度胸も運動神経もないけど、そんなことはロザンナは知る由もないので信じてくれた。勝手に気まずい。嘘ついてることもだけど、凪の手柄を横取りしてるみたいな気持ちになる。
神様……ここではオクタヴィアンさんになるんだろうか?嘘をつきまくってる私をお許しください。まだ聖女ってばれるといろいろ厄介だからしょうがないんです。
私が動物と会話できることを内緒にしてほしいと伝えると、ロザンナは不思議そうな顔をしながらも了承してくれた。




