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聖女の冒険  作者: 星野 奏


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50.お姫様抱っこです。

 急いでお風呂場に向かった。身体中についた泥を洗い流して怪我の状態を見たかったからだ。



「凪はお風呂の外で待ってて。 あ、君も外で__」


“「ロザンナのそばにいる!」”



 絶対譲ってはくれないだろう強い意志を感じる。


 まぁ、ワンチャンだし……いっか。



「ちょっと失礼……」



 気を失っているロザンナに聞こえるわけないけど、断りを入れて洋服を脱がした。下着は……着替えさせる時でいっか。背中を支えたままシャワーのお湯を出し、身体に付いている泥を流していった。


 泥に隠れていた小麦色の肌は所々擦りむいているが、大きな怪我は見当たらない。一番酷そうなのは、腫れている足首みたい。


 こんな事ならオクタヴィアンさんに消毒液とガーゼと包帯、それと湿布もお願いしておけば良かった。傷の範囲が広すぎてポーションをかけるには量が足りないから、飲んでもらうしかない。


 傷口を綺麗に洗って、寝かせておくのが最善……かな。



「凪、タオル取ってー」



 お風呂場のドアを少し開けて手を伸ばすと、指先に柔らかな感触。それを掴み取った。傷に響かない様に出来るだけそっとロザンナの身体をタオルで拭いた。たまに眉間にシワがよるけど、目を覚ましそうな気配はない。そんなロザンナの様子を心配そうな顔をして見守っている。


 そのバスタオルをロザンナの身体に巻いた。



「凪、ドアの開けてくれない?」



 ドアを全開にしてもらい、私は気合を入れてロザンナをお姫様抱っこした。自分より小柄で華奢な子とは言え、意識を失ってるせいかメッチャ重い。


 息を止めて休まず一気にリビング脇の小さな和室に向かった。



「な、な凪! そこの! 押入れからおふ、とん! 出して!!」



 腕がなかなか辛い!!


 ロザンナを敷布団の上にゆっくり乗せた。持ってるのが人じゃなかったら投げ落としてたと思う。


 バッグを持ってきて、パット付きのキャミソール、パンツ、前ボタンの膝丈のワンピースをイメージしながら取り出した。



「着替えさせるからちょっと外で待ってて」



 凪にそう言って、和室の障子を閉じた。


 身体に巻いたタオルを開き、目を細め_よく見ると申し訳ない気がするから_下着を変え、ちゃんと目を開けてワンピースを着せた。バスタオルを引き抜き掛け布団を掛けた。


 あー疲れた。てか私またびしょ濡れ。


 ん!?



「ハニードッグ君、足拭いてもいいかな?」


“「あ! ごめんなさい……」”


「いいの、いいの。 気にしないで」



 シャワーを使っている時に一緒にいたからか、所々濡れてるだけで汚れてはいなかった。ハニードッグが歩いたであろう場所は……。凪が歩いた場所は泥がついてたので後で掃除をしないと……。


 足が綺麗になると、ハニードッグはロザンナのそばに座り、肩に顎を乗せた。



“「ロザンナは元気になる?」”


「起きたら身体中痛いかもしれないけど、ポーション飲んでもらったら直ぐに良くなると思うよ」


“「本当!? ありがとう! ロザンナを助けてくれてありがとう!」”


「私と凪は障子……えっと、ドアの外にいるから何かあれば直ぐに声を掛けてね」


“「うん!」”


「あ! それとね、凪が大きくなったり人の言葉を話せる事は内緒にしてくれる?」


“「分かった! 内緒にする!」”


「ありがとう」



 障子を開けてリビングに出て後ろ手で閉めた。「ふー……」っと思わずため息が漏れた。



「びしょ濡れだな」


「本当にね。 着替えたら泥で汚れたところ掃除する」


「掃除の前に髪をつけた方がいい」


「え!? あ! 本当だ……咄嗟のことで忘れてた」



 お風呂あがりな上家の中だったからウィッグ外してたんだった。ロザンナの意識がなくて助かったかも。ハニードッグは分かってないだろうし。


 慌ただしくしていたら時間はあっという間に過ぎていて、もう直ぐで夜ご飯の時間だった。



「夜ご飯はステーキでいい?」


「あぁ」


「ハニードッグって何食べるの?」


「そこまでは知らん」



 だよねー。


 ドッグフードはないし……ささみとか?


 聞くのが一番かと思い、そっと障子を指一本分開け中を覗くと、ハニードッグはロザンナと一緒に眠っていた。

 起こすのはかわいそうだし、起きた時にでも聞けばいっか。


 炊飯器でご飯を炊き、凪と自分の分のステーキを焼いた。今持っているお米は最初のお家を出る時に拝借したやつなので、そんなに量がない。ナスルに行けば買えると思ってたから5キロのお米一袋しか持ってこなかった。それなのにまさかのお米が売ってなかった。パンが主流らしく、お米は販売していないとの事。ちょっといいレストランに行けば食べれるらしい。

 お米……普通に買えるところ見つけなきゃ。パンも好きだけど、お家でお米が食べられないのは辛い。


 

「アーチザン王国に行く前に、ロザンナをお家まで送っていってもいい?」


「勿論だ。 それに、目的地と同じ場所だと思うぞ」


「何でそう思うの?」


「小柄で小麦色の肌に少し尖った耳、あれはドワーフの特徴だ」


「え!? ドワーフって女の子もいるの!?」


「男だけでは繁殖できないだろ」



 繁殖って……言い方。生々しく聞こえるのは私だけですかね?


 ドワーフって身長は小さいけど筋肉ムキムキの男の人だと勝手に想像してた。馴染みにくい国だったらどうしよう…とか思ってたけど、あんな女の子もいるならなんとかなりそうだ。


 食事を終え寝る準備をした後もロザンナとハニードッグは起きなくて、私はウィッグを付けたままリビングのソファーで寝ることにした。万が一のことを考えて心配してくれているのか、凪はソファーの直ぐ下で寝てくれた。






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