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聖女の冒険  作者: 雨宮 未亜
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04.不審者のようです。

 検索のボタンを押すと、キーボードの映像が浮かび出てきた。文字は日本語で数字もそのまま。よく知る配列で、指が自然と動く。


 "教会"と打ち込むと、マップに星のマークが現れた。現在地から微妙に離れてるけど、歩いて行けそうな距離。お家を出て左にずっと真っ直ぐだし、迷子になることもなさそうだ。


 試しに星マークに触れてみると、新たな画面が表示された。

 【キュルテペーレ教会までは徒歩15分】


 これまた便利な機能。よく使ってた地図アプリのようなものだと思えばいいのかな。


 いざ教会へ!と意気込んだはいいけど、この画面どうやって消したらいいんだろう……。



「クローズ」



 無反応。



「閉じる」



 無反応。


 一体どうすれば……あ!これ?

 画面右上にバツマークを見つけ、指で触れると一瞬で消えた。全ての画面を閉じ、ショルダーバッグを肩から斜めがけにした。


 おっと!靴履かなきゃ。裸足で外歩いてたら変な人だと思われる。


 頭の中でぺったんこのパンプスを思い浮かべながら鞄の中に手を突っ込んだ。色は黒。勝手にイメージしてるだけで本当にそれが出てくるかは分からないけど。

 


「おー……」



 取り出したパンプスは黒でぺったんこで爪先は丸くなってるタイプのイメージ通りのパンプスだった。


 色々入れてくれてるけど、もしかしたらイメージした物が出てくるようになってるのかな?だとしたら凄くありがたい。


 パンプスを履くと、まるで私のためだけに作られたかのような足馴染みの良さで感動した。

 こんな感じで出てくるなら、ヒールとかでも足は痛くならなそう。


 では!いざ教会へ!!


 この世界へ来て初めての外出。胸がドキドキしてる。例えるなら新学期のクラス替え発表を見る直前的な?ワクワクしてるけどやっぱ不安で……っていう複雑な気分。


 家の目の前の道路は舗装されておらず、凸凹している。この世界の道路ってどこもこうなの?だとしたら慣れるまで結構疲れそう。


 歩いていると長閑のどかな風景が広がっていた。車も走ってないし、バイクも見当たらない。澄んだ空気に雲の少ない青空。電線もない。こんな景色をみたのは初めて。


 お家とお家の間はゆったりと空いている。

 あ……



「こんにちは」



 こちらの世界で初めて人を見かけ挨拶するも、男の子と手を繋いでいるお母さんらしき人は、私を見るなり驚いた顔をした。

 ここ田舎って感じだし、余所者がこんなとこで何してんの?って思われてるのかな!?



「あ、あの、私__」



 怪しまれないように自己紹介……と思ったけど、その途中でそそくさと家の中に入っていってしまった。

 どういうこと?私そんなに怪しい奴?


 自分の服装を確認した。紺寄りの青の半袖のワンピース。ウエストには同じ色、同じ生地のリボンを巻いているだけ。どこもおかしいとは思わない。それよりもそういえばこのワンピースを着てたんだった……と思い出して悪夢が蘇る。金欠だったけど、5年目の記念日にと無理して買ったワンピース。

 洋服も着替えてくれば良かった。


 気を取り直して再び教会へ向かっていると、ちょこちょこと人を見かけるようになってきた。だけど、会う人会う人驚いた顔をしては足早に去っていく。


 そういえば私、自分の姿もちゃんと確認してない。元の顔も周りの評価はよく分からないけど、今の顔はもっと酷いことになってるとか言わないよね?若返らせてくれただけで、容姿はいじってないんだよね?

 早く教会に行かなきゃと焦り過ぎて何もかもが確認不足のまま外に出てしまった事を後悔。


 あと少しで教会だし、ちゃっちゃと行ってちゃっちゃと次の準備に取り掛かろう!


 周りの風景を見ながらのんびり歩いていたけど、人の視線や態度に耐えられなくなったので、小走りで教会に向かった。






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