34.その自信分けてほしいです。
表に出たはいいけど、なんのお店がどこにあるのかさっぱり分からない。いったん宿に戻ってマップ開いて探すかなぁ。
「ミオ!」
「ラウルさん!」
冒険者ギルドから出てきたらしいラウルさんがヨッというように片手を上げ、近づいて来た。
ちゃんと全身を見るとスラッと背は高いし身体も引き締まっていて、スタイル抜群だ。細マッチョ。黒豹だからなのか、冷たさを感じさせる顔は口を閉じているととても綺麗。
「何やってんだよ」
口を開いたらやんちゃそうな雰囲気が勝る人。
「商人ギルドにポーション買いに行ってました。 ラウルさんは何してたんですか?」
「俺はちょっとギルマスに呼ばれてな」
「ギルマス?」
「ギルマスってのは、ギルドマスターの事」
こっちでも略したりするのか。
「これから何すんだよ?」
「装備を買いに行きたいんですけどどこ行けばいいのか分からなくて……あ! ラウルさん知ってますよね!? 冒険者だから! 良かったらお店教えてくれませんか!?」
「これから別にする事ねーし、一緒に行ってやるよ」
「いいんですか!? メッチャ助かります!」
ラウルさんは黙ってると話しかけづらそうな感じだけど、いい人だし何だかんだ面倒見のいい人なんだろうなと思う。
それにしても、ラウルさんは本当に背が高い。並ぶと余計にそう感じる。
「なんだよ」
「ラウルさんって背高いですよね。 てか、この国の人高い人多くないですか?」
マルティナさんも女性にしては高いし、マルティナさんに限らず、この国は女性も背が高い人をよく見かける。あとガッチリした人も。
「獣人は何の動物の血が混ざってんのかで体格が大きく変わるからな。 ちっせー小動物系は小柄なやつが多いし、肉食系でもスピード型なのかパワー型で体型がかなり変わる」
「へーそうなんですね。 ラウルさんはスピード型だからスラッと引き締まった体型なんですね」
「そうだな。 かっこいいだろ?」
得意げな顔で二の腕の筋肉を見せつけるかのごとく肘を曲げられた。プロレスラーみたいな大きな筋肉ではないけど、しなやかで綺麗ではある。
ツンツンと触ってみた。
「おー! 硬い!」
「お前はぷよぷよしてそうだな」
「え!? 失礼!」
「なんだよ! 思った事言っただけだろ!」
笑いながらお腹の肉を摘まれた。
「ちょっ__セクハラですよ!」
「セクハラってなんだよ!?」
「セクシャルハラスメントです! 許可なく触って私が嫌だと思ったらセクハラなんです!」
正確に言えば職場内の事じゃないからセクハラとは言えないんだけど。こういう場合他になんで言っていいのか分かんなかった。
二の腕ならまだしもお腹のお肉掴むなんて!しかも油断してる時に!
「お前本気で怒ってんの!?」
少し慌てたラウルさんを見て笑ってしまった。
「あははっ! 別に怒ってはないですよ」
「驚かせ__」
_ドンっ!!
「ラウルじゃない!」
突然女の人が2人割り込んできてまさかの突き飛ばされた。
転ぶ!と思ったら間一髪のところで凪が背中を支えてくれた。支えてくれたのはいいんだけどさ!失敗したスクワットみたいな体勢で太ももがプルプル!
“「な、凪……ありがと__!」”
あ、でもダメだ。体勢を立て直そうとして足が滑べった。
「あっぶねー。 大丈夫か?」
「は、はい。 ありがとうございます」
お尻をつく寸前でラウルさんに手首を掴まれた。そのままグイッと引っ張られ、転ぶ事なく立ち上がれた。
あのままお尻をついても怪我する事はなかったけど、転ばないに越した事はない。
「ちょっとラウル! その子なんなの!?」
「私たちの誘いは断っておいてそんな人間の子といるなんて!」
どうやらラウルさん狙いの女の人たちらしい。ウサギさんと垂れ耳わんちゃんにキッと睨まれた。顔は怖いけど、耳がついてるってだけでその怖さも半減。まさしく怖可愛い。
「わりーけど、うるせー女は好きじゃねーの。 じゃあな」
「え? え、え!?」
背中に手を置かれ、グイッと押された。
怒ってる女の人たちの声がして、足を動かしながらチラリと後ろに顔を向けると、物凄く睨まれて慌てて前を向いた。
「悪かったな。 怪我してねーか?」
「あ、はい。 凪が支えてくれたし、ラウルさんが手をつかんでくれたので大丈夫でした。 ありがとうございました」
「ありがとうは違くね?」
「助けてもらったから、ありがとうですよね?」
「俺のせいなのに?」
「ラウルさんにぶつかられたわけじゃないですよ?」
「お前はお人好しだな」
え?そうかな?みんなだいたい同じように考えると思うんだけど……。
「ラウルさんはモテるんですね」
「まーな」
「うわ……否定しないんですね」
「事実だからな」
この溢れんばかりの自身もモテ要素なんだろう。溢れちゃってる自信欲しいわ〜。




